標準計測法12による絶対線量測定

水ファントムを用いて基準となる位置(基準深)の吸収線量を測り、各種補正を行って吸収線量を求める。
 ただし
, 実際の測定は校正深での線量を深部線量比の値を用いて基準深線量に変換する。

 

 

○校正点線量Dcから基準点線量Drへの変換

  基準点線量Dr = Dw,q ÷ TMR (光子の場合)

 =  Dw,q ÷ PDD (電子の場合)

 

 

○校正点水吸収線量DW,Q

  DW,Q­­­­ = MQ0 × ND,W,Q0 × kQ,Q0

  MQ0ユーザ電離箱表示値(補正後)

ND,W,Q0水吸収線量校正定数

kQ,Q0線質変換係数

 

 

ユーザ電離箱表示値Mrawに対する補正

 MQ0 = Mraw × kpol × ks × kTP × kelec

 (1)極性効果補正
  kyokuseihosei

平行平板型では補正が大きく、ファーマー型では補正は小さい

 

(2)温度気圧補正
  ondokiatu

 電離箱が測定環境と温度湿度平衡状態に置く必要がある

 

(3)イオン再結合損失補正ks         

 イオン再結合には「初期再結合」と「一般再結合」があり、

2点電圧法等で測定し、Boagの理論に基づいているかをJaffe poltで確認する

・初期再結合:線量率に依存しない

       放射線治療レベルの線量測定では無視できるレベル

       高LET放射線では優勢となる

 

・一般再結合:線量率、電離箱の印加電圧、大きさ、形状に依存する

 

(4)電位計補正kelec

 一体校正ではkelec = 1となるが、分離校正では変わってくる

 

 



○水吸収線量校正定数ND,W,Q0

 標準計測法12より水吸収線量校正定数ND,W,Q0は医用原子力技術研究財団による校正によって与えられるようになった。

 ND,W,Q0 = DW,Q0 ÷ MQ0

 DW,Q0標準(基準条件)での水吸収線量

 MQ0ユーザ電離箱表示値(補正後)

 

 *以前までは以下の式より求めていた

ND,W,Q0 = kD,x ÷ Nc

  kD,x校正定数比

Ncコバルト校正定数

 

 

○線質変換係数kQ,Q0

 kQ,Q0 = ND,W,Q ÷ ND,W,Q0

 ここで線質Q0Qが電離箱の測定値で等しくなるように照射した場合(MQMQ0)、

 線質変換係数

制限衝突阻止能平均制限質量衝突阻止能比

 P:攪乱補正係数 = Pwall × Pcav × Pdis × Pcel

  Pwall:壁補正係数 

Pcav:空洞補正係数

Pdis:変位補正係数

  Pcel:中心電極補正係数 

・平均制限質量衝突阻止能比

 光子の場合:TPR20,10法またはPDD(10)x法により求める

 電子の場合:線質指標R50(校正深dcにおける)を用いた近似式より求める

 陽子線m炭素線の場合:線質指標を残余飛程RresRp-Zref)を用いた近似式より求める

            実用飛程RpSOBP最深部より深部で吸収線量が最大値10%となる深さ

            基準深ZrefSOBPの中心

 

 

 

 

 

X線測定

電子線測定

線量計

ファーマー

 

深部電離百分率測定には平行平板型のみ

校正深測定では平行平板(R504.0cm2のとき)

ファーマー(R504.0cm2のとき)

照射野

10×10cm2

10×10cm2(コーンを取り付ける)

セットアップ法

STD(TMR一定)

SSD(PDD一定)

校正深dc

Dc10cm

Dc0.6×R500.1

R50 = 1.029I50-0.06 (I5010cm)

R50 = 1.059I50-0.37 (I50 >10cm)

平均入射エネルギーE0=2.33 R50

校正深から

基準深へ変換

TMR(10cm, 10×10cm2)

SCD100cm

PDD(dc, 10×10cm2)

SSD100cm

 ・陽子線、炭素線の校正深:SOBPの中心


R50深部線量半価深、吸収線量が50%になる深さ

I50深部電離量半価深、ビーム軸上での水中の深部電離量曲線がその最大値の50%になる深さ

 

 モニタ線量計の校正


○モニタユニット値 (Monitor Unit, MU)

 モニタ線量計で計測されるフルエンス量,ある規定量で1MU とした値

 どのくらい照射したかをモニター線量計で測定/認識して制御するため、どれだけ照射したかを表す数値。

規定量基準深で通常 1.0 cGyとなる量

 

DMU (Dose monitor unit; Gy/MU)

 MU照射したときに基準照射野,基準深における吸収線量

 通常1.0 cGy/MUに調整されている。
 DMUの調整では吸収線量は変えることができないのでモニター線量計で測定された電荷量からMU値に変換する際の変換割合(ゲイン)を調整する。

 また, 1MUだけ照射するというのは誤差が多いので100MU以上出してそのときの線量をMU値で割る。

 

MU()計算

mu

D投与線量             

SAD一定法ではTMR or TAR or TPR   
SSD一定法ではPDD        

OPF出力係数     
WFウェッジファクタ     
TFトレイファクタ

 

MU値に影響する因子

患者セットアップ
投与線量
 (1あたりの投与線量cGy)
 深さ (深部線量比の値

照射野の大きさ (出力係数
ウェッジ
 フィルタ (ウェッジファクタ
DMU



 

○出力係数(Out put factor)

10x10cm2の照射野サイズの際の線量を1.0として
 照射野サイズが異なったときの線量の比率で表される。
 照射野の大きさが異なると
散乱線を生む体積が増減する
 照射野が大きければ線量が増加。小さければ減少する。
 MU値計算において照射野サイズの影響を加味する項として出力係数がある。

 全散乱係数 Scp = Sc × Sp  →  OPF
 OPF =  D(d0,A) ÷ D(D0,10×10)


・コリメーター散乱係数
 Sc
 ガントリヘッド内(平坦化フィルタ、コリメータ)で生まれる散乱線


・ファントム散乱係数
 Sp
 水ファントム内(体内)で生まれる散乱線
 照射野の小さなところではScpに対するScの影響が大きい

 



広告