X線源装置

X線管の構造

・固定陽極X線管:陽極が固定された構造 熱容量が小さい

歯科用・携帯形などの小容量X線装置に使用、焦点外X線の発生が少ない


・回転陽極
X線管:陽極が回転する構造 →熱容量が大きい

 ①    ガラスバルブ:真空の維持、高電圧の絶縁と耐高温性材質  →硼珪酸硬質ガラス

 ②    陰極(フィラメント、集束電極):加熱電流で高温にして熱電子を発生、熱電子を細いビームに絞る

 ③    ターゲット:傘形で焦点面の材質はタングステン 高原子番号、高融点3450

 ④ 陽極回転子(ロータ):誘導電動機の原理でターゲットを高速回転させる


・格子制御系
X線管

グリッド電極により高電圧型でX線を開閉できる。

コンデンサ式X線装置と組み合わせて使用

 管電流を制御する格子電極をもつ 


○実焦点と実効焦点  
    (実効焦点実焦点)

・実焦点

 管電圧が低い・管電流が大きい・ターゲット角度が小さい → 実焦点は大きくなる

実焦点面積が大きい → 短時間許容負荷が増す(X線出力を大きくできる)

             最大許容入力が大きくなる(比例の関係)

・実効焦点

 実効焦点面積が小さい → 幾何学的半影(画像のボケ)小さくできる

・ヒール効果:ターゲットからのX線強度分布がターゲット自身の吸収によって陽極側<陰極側 となること

 ターゲット角度が大きい・撮影距離が長い → ヒール効果が小さい(利用可能な放射角度が大きい)

 ヒール効果が小さい → 最大照射野・有効照射野が大きくなる(利用可能な放射角度が大きくなるため)

・ビームハードニング:線質は陽極側で硬くなる

 
 

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○正焦点と副焦点  
    電子密度:正焦点副焦点

フィラメントから発生する熱電子は集束電極によってターゲット上に集束するが電子密度は均等ではない ⇒  正焦点副焦点の生成

・正焦点:フィラメントの前面付近から発生した熱電子によって形成される焦点

・副焦点:側方および後方から発生した熱電子によって形成される焦点

集束電極の溝幅を狭く深さを浅くするほど焦点寸法は小さくなる


○焦点外X

 発生:焦点に衝突する高速電子から発生した2次電子焦点面以外のターゲット面に衝突して生じる

 作用:X線写真に一様なかぶりを与えるため、コントラストを低下させる

 除去:付加フィルタX線可動絞りの奥羽根鉛コーン

 特徴:焦点近傍で最も多く発生し、離れるほど減少する

    線質は焦点近傍で最も軟質(低エネルギー成分のX)で、離れるほど硬質になる

    回転陽極管ではターゲット面積が大きいため、固定陽極管に比べて発生量は多い

 

○動作特性(二極管特性、v-i特性)

X線管入力X線を発生するために陽極に加えられる電力 → 公称最大電力

  P = U×I×f×10-3   
  PX線管入力[kW]   
  U管電圧[kV]……ピーク値で表される  
  I管電流[mA]……平均値で表される

  f:管電圧のリプル百分率によって定まる定数

  f=1.0:リプル百分率が10%以下の場合
     (インバータ式 定電圧形 三相12 ピーク形に相当)

  f=0.95:リプル百分率が10%を超え25%以下の場合
     (三相6ピーク形に相当)

  f=0.74:リプル百分率が25%を超える場合
     (単相2 ピーク形 単相1ピーク形に相当)

 

・ヒートユニット[HU] X線管の入力を表す特別の単位。 1HU=0.71J
 (a) 単相全波整流回路、 単相半波整流回路、 自己整流回路の場合HU=U×I×t

    (b) 三相全波整流回路または同等のリプル百分率の回路の場合HU=U×I×t×1.35
 (c) 定電圧回路の場合HU= U×I×t×1.41
 (d) コンデンサ式の場合:HU=0.71×C×(U1-U2)

 U:管電圧[kV]・・・・ピーク値で表される。      
 I
:管電流[mA]・・・・平均値で表される。

 t:負荷時間[s]    
 C
:コンデンサ容量[μF]  
 U1
:管電圧[kV]   
 U2
:波尾切断電圧[kV]

 

・飽和領域(温度制限領域)
 比較的管電圧が高く、管電流が低く、焦点が大きい領域

管電流I1/d2  
 管電流値はフィラメント電流で決まる(飽和電流で動作する)


・空間電荷制限領域
 比較的管電圧が低く、管電流が高く、焦点が小さい領域

 管電流Ip(チャイルド・ラングミュアの式)∝ V3/2d2   
 V:管電圧 
 d:電極間距離 
 
・固有ろ過
 取外しできない物質による線質等価ろ過。

 X線管装置では外囲器 (ガラスなど) や絶縁油、 放射窓などが相当する。

 固有ろ過(Be)と付加ろ過を合わせると総ろ過となる。


・フィラメント特性
フィラメントに加える電圧フィラメント電流との関係


・管電流特性
(エミッション特性)管電流フィラメント電流との関係


・その他特性  
 
 X線出力 ∝ (管電圧)n × (管電流) × (ターゲットの原子番号)

 X線強度・線量 ∝ (管電圧)n × (管電流) × (照射時間) × (ターゲットの原子番号)
 n;管電圧指数(25で変動)
  ターゲットで発生した直後はn2だが、物質を透過するほどnは大きくなる


○短時間・長時間許容負荷
  

・短時間許容負荷(一般撮影のような大管電流が流れる場合)
 → 実焦点面の温度上昇によって制限

短時間許容負荷増大の条件

1実焦点面積大きくする(固定陽極では面積に比例、回転陽極では長さに比例し1/2に比例)

2ターゲット角度小さくする(実効焦点サイズが同じ場合)
  → 実焦点面積が増大

3管電圧脈動率(リプル百分率)小さくする
  → 焦点面温度の均一化

4陽極回転速度大きくする(回転陽極の場合)

5焦点軌道直径大きくする(回転陽極の場合)
  → おのおのの実焦点位置での熱電子衝突時間の短縮
  

 一秒以下の短時間許容負荷W(オスターカンプの式)
  sh熱容量 式

  l:実効焦点の長さ   
  b:実効焦点の幅(実焦点の幅と同じ)   
  D:焦点軌道直径

  N:陽極回転速度
   (電源周波数に比例、普通回転形:約3000回転/分、三倍高速回転形:約9700回転/)

 

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・長時間許容負荷(透視のような小管電流が長時間流れる場合) → 陽極全体の温度上昇によって制限

・負荷曲線(陽極加熱曲線):負荷時間とHUの関係、短時間許容負荷は負荷時間とは関係ない

X線管装置最大連続入力:連続的な負荷の限界値、最大熱容量と最大冷却率で決まる

・混合負荷(スポット撮影や連続撮影など)

 照射野限定器(X線可動絞り)

X線照射野を調整する制限器

    照射野の平均照度はSID1mSID100lx以上、ただし、160lx以上が望まれる。

    固有濾過はアルミニウム当量の最小の公称値を可動絞りに表示

    X線照射野と光照射野の境界のずれはSID2%未満であること

    可動絞りの漏れ線量は規定の負荷条件において1h当たりの積算値が100cmの距離で

空気カーマ1.0mGyを超えない

 ⑤最大X線照射野 → SID65cmのとき35cm×35cmを超えない

 ⑥最小X線照射野 → SID100cmのとき5cm×5cm以下

 ⑦上羽根:X線照射野の制限 下羽根:散乱線・漏れ線量の低減 奥羽根:焦点外X線の低減

 ⑧付加フィルタ:総ろ過(2.5mmAl以上)調整用の着脱式フィルタ(AlCu)

 ⑨外装漏れ電流:0.1mA以下

*漏れ線量:放射口を除くX線管装置およびX線管容器を透過する空気カーマ

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