X線高電圧装置

○高電圧変圧器

 管電圧はピーク値、管電流は平均値を示すため換算して扱う
  n2/n1  =  a  =  V2/V1  =I1/I2
  n1:コイルの一次側巻数
  n2:コイルの二次側巻数
  a:巻数比
  V1:一次側の電圧(実効値で表示)
  V2:二次側の管電圧(最大値で表示)
  I1:一次側の電流(実効値で表示)
  I2:二次側の管電流(平均値で表示)
 
 ピーク時、実効値、平均値の関係 → 管電圧波形(X線高電圧装置による)で変わる

・インバータ式、定電圧形、三相12ピーク型
 実効値≒ピーク値 かつ 実効値≒平均値
・三相6ピーク形
 実効値=最大値×0.956 かつ 実効値≒平均値 かつ 最大値=平均値×π/3
・単相2ピーク形
 実効値=最大値×1/√2 かつ 実効値=平均値×π/2√2
・単相1ピーク形
 実効値=最大値×1/2 かつ 実効値=平均値×π/2

・高電圧整流素子:シリコン(内部抵抗が小さい・小型・軽量・長寿命・機械的強度が高い)

・空間電荷補償回路:管電圧が変化しても管電流が一定になるように補償する

X線用高電圧ケーブルの静電容量:250pF/m、ケーブルが長いほど静電容量は増加する

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○高電圧装置の性能測定

・蛍光量計:X線出力の再現性         
・オシロスコープ:撮影時間

・直接接続型管電圧・電流計:管電圧管電流

 

2ピーク形装置(単相全波整流装置) 
 → 単相電源作動装置  グレッツ結線

・リプル百分率 100%
  → 高電圧ケーブルが長く低管電流ほど低下

・構成
 単巻変圧器、タイマ回路、高電圧変換器、整流器、管電流調整器、加熱変圧器

・管電圧の調整
 高電圧変換器の
2次側タップを切り替え、1次電圧を変化させる

・管電流の調整
 フィラメント加熱電流を変化させる

・撮影時間の調整
 1次電圧を加える時間を変化させる

2ピーク装置の単巻変圧器は電源電圧、X線管電圧の調整に使用される。

 

○三相装置 → 三相電源作動装置

a)6ピーク

整流器:6

リプル百分率:13.4%

6ピーク/周期

結線:1次Δ2Y

 

b)26ピーク

整流器:12

リプル百分率:13.4%

6ピーク/周期

結線:1次Δ2Y-Y直列

 

c)12ピーク

整流器:12

リプル百分率:3.4%

12ピーク/周期

結線:1次Δ2次Δ-Y直列

2次巻線をY-Δ直列に接続する

・単相と3相の比較  
 リプル百分率:相>
3相   
 軟線:相>
3相  
 X線出力:3相>

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○定電圧形
 出力管電圧のリプル百分率が4%を超えない

  

○インバータ式高電圧装置
 (共振形と方形波形(非共振形
))

・インバータ式高電圧装置の分類

変圧器形:据置形(出力30~100kW)がある。
      電源設備から
X線照射エネルギーを供給する。

エネルギー蓄積形:コンデンサエネルギー蓄積(胃部・胸部集団検診に用いる間接撮影用装置)

 電池エネルギー蓄積:移動形(出力15kW程度)がある。

 

・インバータ式高電圧装置の特徴

1,X線照射中に交流電力を直流電力に変換してから高周波交流電力に変換して、高電圧を得る
  →出力の調節

 

2,相電源でも3(12ピーク)装置と同等のX線出力が得られる

  インバータ式装置では単相、3相、コンデンサ式、直流電源などに関わらず、
  低いリプル百分率が得られる

  → 軟線成分が少なく大出力X線が得られる。

 

3,電源位相に関係なくX線を発生・遮断できる

 

4,動作(インバータ)周波数が高く,管電圧のリブル百分率が小さい

 

5,周波数:数十50kHz
     高いと高電圧ケーブルの浮遊容量による平滑化作用が大きくなり
     高電圧変圧器でのエネルギー損失が多くなり
     管電圧のリプル百分率が小さくなる

 

6,短時間最大定格:電源容量で制限を受ける。
          電源インピーダンス:大 → 電源容量:

 

7,管電圧立下り時間:周波数が高く、管電流が小さい
           高電圧ケーブルの平滑効果が大きくなり長くなる

 

8,電力変換効率:インバータ周波数が高いほど低下する

・管電圧調整

 高電圧変圧器入力電圧(1次側)を制御する。

 3つの方式で、それぞれ以下のように制御する。

 また、フィードバック制御により精度が向上している

共振形
 共振回路に加えるインバータ周波数と回路固有の共振周波数の関係で管電圧を決める

方形波形
 チョッパ回路平均化フィルタからなる直流電圧可変回路
(DC-DCコンバータ)で管電圧を調整する
 チョッパ回路のオン/オフ時間の割合(パルス幅デューティ比)で管電圧を決める

その他
 インバータ回路出力パルス幅位相シフト角で管電圧を調整する

 

・撮影時間調整
 インバータ回路を駆動する時間で調整する。
 撮影時間は電源周期の影響を受けない

 

・管電流の制御
 インバータ制御による高周波加熱方式を用いる。
 フィードバック制御を行うことがある。

 

 

・方形波形インバータ式装置の基本回路

    AC - DCコンバータ
(交流 - 直流変換)
直流電源の整流を行う

    DC - DCコンバータ
(直流電圧可変回路:チョッパ回路+平滑化フィルタ)
共振形では不要

    高周波インバータ
(直流を大電力半導体スイッチング素子によって高周波交流に変換)

    高周波高電圧変圧器:高電圧交流を発生

    全波整流回路、高電圧ケーブル

 

方形波形インバータ式装置の特徴

方形波形ではスイッチング時の電圧・電流の変化が直線

方形波形では電圧と電流がともに値をもつ期間が長い

負荷によってインバータ周波数は変わらず(周波数が固定)、リプル百分率が変わらない

ハードスイッチング:半導体素子での電力損失が大きい

 

 

・共振形インバータ式装置の特徴

共振回路:共振用コイル・コンデンサ高電圧変圧器からなる

ソフトスイッチング:半導体素子での電力損失小さい

DC-DCコンバータが不要

共振形では電流が遅れて変化するため,電圧と電流がともに値をもつ期間が短い

負荷が高いほどインバータ周波数が高くなり(周波数が可変)、リプル百分率は小さくなる

スイッチング時の損失:方形波(非共振)インバータ>共振インバータ

 

・高電圧変圧器

変圧器の誘起起電力∝巻数×鉄心断面積×磁束密度×インバータ周波数

→インバータ周波数が高いと小型軽量化可能

 

*管電圧リプル率

「共振波形での管電流:大きい」

       ↓

「インバータ周波数:高い」 「高電圧ケーブル:長い」 「方形波形での管電流:小さい

       ↓            ↓            ↓

「高電圧ケーブルの平滑効果:大きい(電源効率が悪い、損失が大きい)

                   ↓

「管電圧リプル率:小さい」 

 

 ○コンデンサ式高電圧装置

・定義
 電気エネルギーを高電圧コンデンサに蓄え,その放電でX線管に1回の負荷を供給。

コンデンサ容量2μF以下で,
 高電圧側でX線照射の開閉を制御→ 格子制御形(3)X線管と組合わせて使用

 

・特徴

①電源容量:小容量電源(家庭用単相100V)で使用でき,電源電圧の変動による影響が少ない

②操作性 :撮影条件の設定は管電圧(充電電圧)mAs(放電電荷量)のみである。

再現性 良好 影響する因子は充電電圧波尾切断電圧の精度のみ。

構造:充電回路:グライナツヘル(倍電圧)回路,コッククロフト回路

保護抵抗:異常振動防止のために保護抵抗(2 5kΩ)をコンデンサに直列接続する。

 

・特性

充電時間
 → 電源インピーダンスが大きいほど長い

撮影時間
 → 使用
X線管の許容負荷が大きいほどX線管の内部抵抗は小さい

mAsX線量・線質
 → mAsの増加とともに管電圧が指数関数的に減少 → X線発生量も減少

 → mAsX線出力は正比例しない

 → mAsが増大するほど線質は軟らかくなる

mAs・波尾切断電圧・コンデンサ容量の計算
 → 放電電荷量mAs[mC]C×(Vc-Vd)

C:静電容量[μF]

Vc:充電電圧[kV]

Vd:波尾切断電圧[kV]

 

*暗電流:格子電極をすり抜けた熱電子ビームのこと。ターゲットに到達するとX線が発生する。

 

○自己整流装置

交流高電圧を直流に変換することなくそのままX線管に印加する

 

X線制御装置(管電圧、管電流、撮影時間の制御)

○管電圧の制御
 → 管電圧の選択は単巻変圧器の二次側のタップを切り替えて行う

 

○管電流の制御
 → フィラメント加熱変圧器の
1次側のタップを切り替えて行う

 

○撮影時間の制御

・管電圧波高値(最大値)75%の立ち上がりと立ち下がりとの間の時間
  「インバータ式」「
612ピーク形

・管電圧波形のパルス数で表す(電気角45°をこえた部分が1パルス)
  「
2ピーク形(単相全波整流形)

・負荷の開始(充電)管電圧と負荷の終了(波尾切断)管電圧との間の時間
  「コンデンサ式

 

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