放射線治療技術学 トップページ

・外部放射線照射装置
 ― リニアックと照射付属機器・器具

リニアックと照射付属機器・器具
リニアック (76am42、74am40、73pm36、66.73、63.72)  現在のスタンダードでX線、電子線での治療に用いられる  定位放射線照射装置としても使用可能  直線型加速管により電子を加速する  出力エネルギーは断続的 ①電子銃  加速管に電子を数十kVで加速して供給する ②大出力マイクロ波管 (70am36、68am37、67pm36、66.72) ・マグネトロン(自励発振管)  安価、 単寿命、 安定性悪  10MeV以下の小型直線加速器に用いる ・クライストロン(増幅器)  高価、 長寿命、 安定性、前段に発振器が必要  10MeV以上の大型の直線加速器に用いる  発振周波数は3.000MHz程度である *マイクロ波が加速管に行く順番  大出力マイクロ波管   ↓    導波管(絶縁ガス(SF6など)が封入   ↓  加速管           ③加速管  電子銃から放出された電子をマイクロ波で加速  内部は真空で、銅によって作られ、一定の出力を持つ  周波数帯域を変えると、加速管の長さを変え必要がある ・定在波型 :現在の主流、真空度が大切、長さは短い ・進行...

 ― 様々な治療装置 / 粒子線照射装置 / 治療計画CTと計画装置

様々な治療装置 / 粒子線照射装置 / 治療計画CTと計画装置
コバルト60遠隔治療装置  RI(60Co:半減期5.26年)を使用した装置 ・γ線エネルギー :1.17/1.33MeV(平均1.22MeV)    ・β線:カプセルで吸収される ・半影が大きい ベータトロン  X線と電子線を発生する(電子線治療に最適) ・加速管 : ドーナツ管  電磁石で真空管の加速管(ドーナツ管)をはさみ、 電子は磁場の変化により円運動で加速される ・交流磁場により発生する電界で、円運動(軌道半径一定)と加速を行う電子専用加速器 ・加速エネルギーは4~30MeV マイクロトロン  直流磁場(一定)で電子を円運動させて加速する ・円軌道半径は増大 ・X線・電子線の治療に用いる サイクロトロン  (70pm35、69am37、62.51、60.75)  ディー(dee)電極の間に高周波電圧をかけて、直流磁場(強度一定)を発生させ、荷電粒子(主に陽子)を加速する ・高周波電圧の周波数(周波数は不変)により半周ごとに極性が変わり、回転軌道半径が増大しながら加速される ・陽子や重荷電粒子の加速に適する ・AVFサイクロトロン :強収束の原理を用いている *サイクロトロンに...

・線量計測
 ― 線量計測 / 標準測定法12

線量測定/標準計測法12
線量測定の種類 ・絶対(線量)測定 :その位置に与えられる吸収線量をGy単位で測定する  水吸収線量計測など ・相対(線量)測定 :基準となる吸収線量もしくは電離量に対する比率を測定する  PDDやOCRなど 絶対線量計測で用いる線量計 円筒型 (指頭型,ファーマー型)電離箱検出器 (71am41pm36、70am37、69pm38、68am82)    主にX線の測定に用いられる  ファーマー型(0.6㏄)は絶対線量計測に用いられる  電子線の場合,深さにより全擾乱補正係数の変化の影響を受ける  (小型円筒形の場合は無視できる) ・基準点  幾何学的中心 :光子線の線質指標測計測、水吸収線量計測  線量計の幾何学的な中心を基準点とする  半径変位法(0.6rcyl) :光子線の相対線量測定  幾何学的中心から0.6rcyl線源側を基準点とする  半径変位法(0.5rcyl) :R50≧4.0cm2の電子線の測定  幾何学的中心から0.5rcyl線源側を基準点とする   平行平板形電離箱検出器  (71pm83)  主に電子線の測定に用いられ,特に10MeV以下の電子線には平行平板型の...

 ― 線量測定の幾何学的用語 / モニタ線量計

線量測定の幾何学的用語 / モニタ線量計
線量測定に関わる幾何学的用語 ・最大深 dp :測定により得られた水中で線量が最大となる深さ ・基準深 dr : 基準となる深さで、水中で線量が最大となる深さ  最大深が測定できていれば最大深=基準深で、不明な場合X線では約MV/4 cm (≦10MV) ・校正深 dc :モニタ線量校正などの測定に用いる深さ ・PDI :深さによる電離量百分率の変化 ・PDD: percentage depth dose 深部量百分率 (76am82、74pm43.79、73am40、72pm43、68am40、65.80、62.77、61.80)  SSD (Source-Surface Distance) 一定とし、表面での照射野をA0とする  ビーム中心軸上の水中の深さdを変えながら測定した線量をD(d、A0) としたとき、D(d、A0)の最大値(もしくは基準深drでの線量) をDmax(dp,A0) としたとき以下の式で表される PDD(d,A0)=100×D(d,A0)÷Dmax(dp,A0) ・特性  距離依存性(Mayneordの法則)  → SSDが大きくなると、PDDも大きくなる ・...

・治療計画
 ― 標的体積 / 線量指標

標的体積 / 線量指標
標的体積の種類 (76am35、75am37、73pm41、69am38、67am42、62.88)  放射線治療に関わるボリュームの定義で、 ICRU report50 およびreport62にて定義された ・GTV(肉眼的腫瘍体積) :「原発巣」   「治療の対象なら転移性リンパ節腫脹や遠隔転移」  画像や触診,視診で確認できる腫瘍体積  原発巣,リンパ節転移,あるいは遠隔転移巣が含まれる  術後照射や予防的照射の場合は,GTVがないということもありえる ・CTV(臨床標的体積) :「所属リンパ節」  GTVおよびその周辺の顕微鏡的な進展範囲,あるいは所属リンパ節領域を含んだ照射すべき標的体積 ・ITV(内部標的体積)  CTVに呼吸,嚥下,心拍動,蠕動などの体内臓器の動きによる影響をインターナルマージン(IM ; internal margin)として含めた標的体積  ITVは咽喉頭および胸部・腹部臓器などほぼ全ての部位で注意が必要 ・PTV(計画標的体積)  TVにさらに毎回の照射における設定誤差(SM ; set-up margin)を含めた標的体積 ・TV(治療体積)  治...

 ― 固体ファントム/照射野とセットアップ方法

固体ファントム / 照射野とセットアップ方法
固体ファントム  (72am42)  固体ファントムで得られた水吸収線量 Dw(dw)  Dw(dw)=Mpl(dpl)×hQpl×ND,W×kQ ・Mpl(dpl) :固体ファントム内の水等価深での電離箱線量計指示値 ・深さスケーリング係数 Cpl  Cpl =水の測定深÷固体ファントムでの水等価深  固体ファントムの密度と元素祖型が基準媒質である水と異なることによって、ファントム内での放射線の吸収・散乱に違いが生じるため、これを補正する係数。以下算出方法  (1)密度比による方法:元素組成が違うので不適  (2)電子濃度比による方法:コンプトン効果のみを考慮しているため、不適  (3)実効線減弱係数比による方法:すべての相互作用を考慮している ・フルエンススケーリング係数(別名:電離量変換係数)hpl  固体ファントムで測定した電離量を水ファントムで測定した電離量に変化するための係数  hpl =水の基準深での電離箱線量計指示値÷固体ファントム内の水等価深での電離箱線量計指示値 照射野の定義 ・X線照射野サイズの定義  プロファイルのグラフ上、50%線量となる位置の幅が照射野サイズ...

・照射方法
 ― X線・電子線による外部照射 / 固定照射 / 運動照射

X線・電子線による外部照射 / 固定照射 / 運動照射
X線による外部照射 X線の特徴 (72pm42、68pm39、64.80、62.78) ・ビルドアップ効果のため皮膚障害の軽減が図れる  エネルギーが高いほどビルドアップは深くなる   → 皮膚表面線量が小さくなる ・組織間の吸収の差が小さくなり、線量分布が均等になる ・深部でのPDDが大きく、深部の腫瘍に対して十分な線量を照射できる ・側方散乱が少ない ・骨や肺などの影響が少ない ・10MV以上のエネルギーでは光核反応による中性子の防護に考慮が必要 電子線照射 電子線の特徴  (75pm40、71am37、67am39.am40、62.75) ・ある深さで急激に線量が低下するため、表面付近の腫瘍または術中照射に適す ・局所障害が少なく回復が早い ・側方散乱は多いが遮へいが容易であり、周囲の健常組織が簡単に防護できる ・照射筒を使用するため照射野は照射筒の大きさになり、表面位置での照射野となる ・スキャッタリングフォイル(散乱箔)によりビームを拡散し照射野内の線量分布の平坦化を行う ・治療可能深さ    (70pm37、65.80、62.75)       入射平均 エネルギーE0 実...

 ― 分割照射 / IMRT / 定位照射

分割照射 / IMRT / 定位照射
分割照射 (76pm68、75am44、74pm65、73am43、72am69、70pm40、69pm69、68am69.pm68、67pm70、64.84、61.81) ・標準的分割法(通常分割法) :1回2Gyを週に5回 ・一回大線量小分割法 :1回4Gy、週に2~3回 ・1日多分割照射法(過分割照射法)  1日2回(6時間以上あける)  週に10回、1.2Gy:過分割照射法  週に10回、1.5Gy:急速過分割照射法 *正常組織と腫瘍組織とのわずかな感受性の差と回復力の差を利用し、その差を拡大させる  正常組織の急性障害はやや強く出るが、晩発障害の減少と腫瘍抑制の向上が期待できる   → 治療可能比を高めることが出来る *全照射期間を長くすると腫瘍細胞で加速増殖が起こる ・寡分割照射法  (74am35)  通常分割と比較して1回線量を増やし照射回数を少なくした照射 ・対象:「前立腺癌」「乳癌」     「骨転移」「頭頚部腫瘍(一部)」 ・分割照射における生物学的等価量 (76pm69、70pm66)   LQモデル:S/S0=exp(-αD-βD2)  早期反応(腫瘍)のα/...

 ― その他放射線照射治療の手法

その他放射線治療の手法
全身照射法(TBI)  (72am36、70am39、69am41、66.80、63.86、61.35、60.81) ・総線量 :4~12Gy/1~6回/1~4日           ・線量率 :10cGy/分以下 ・目的 :「腫瘍組織の根絶」  「免疫抑制」 ・適応 :「白血病」  「重症再生不良性貧血」  「重症免疫不全症」  「悪性リンパ腫」 ・急性期合併症 :間質性肺炎、移植片対宿主病、肝静脈閉塞症 ・晩期有害事象 :白内障、不妊 *分割照射により、総線量の増加と合併症の減少が可能 *両眼の水晶体を防護する *生殖器官の防護をする場合がある ・照射方法 :X線を用いて、アクリル板等で表面線量を確保し、体圧の補正も行う (1)Long SAD法  :リニアックを横向きにして、部屋の端に患者を寝かせるため、部屋の大きさが問題となる   厚みの違いをボーラスによって埋め、肺野や眼球部分を保護するよう遮蔽物を置く (2)ビーム移動法、寝台移動法  :機械的運動精度が問題となる 全皮膚照射  (70am40) ・適応 :「菌状息肉腫 (T細胞リンパ腫の一種)」  ・電子線を使用する 粒子...

・小線源治療

小線源治療
小線源治療の利点・欠点  (63.83) ・比較的短時間に沢山の線量を照射できる ・腫瘍の中心に高線量を照射できること ・距離が離れることによって隣接した正常組織の障害を軽減できること ・術者による効果の差が大きい 小線源に用いられる核種 (74pm40、72pm41、71am39、70pm36、69pm37、68am38、66.75、65.74、63.74、62.71.81、61.40) 核種 ★半減期 ★線量率 ★装置期間 ★使用法 ★平均エネルギー (MeV) 形 192Ir  74.0日 高・低 一時 組織内、表面、腔内 0.38 シード 137Cs  30.1年 低  一時 組織内、表面、腔内 0.66 針・管 60Co 5.27年 高 一時 腔内  1.25 針・管 198Au  2.69日 低  永久 組織内 0.41 グレイン 125I 59.4日 低  永久 組織内 0.027 シード 252Cf 中性子線原 90Sr(-90Y) 線源 :90Yからのβ線(2.28MeV)を用いた翼状片(良性疾患)の治療に用いられる 線量率の分類 分類  海外での 線量率範囲 日本で...

・品質管理

品質管理
外部放射線治療装置の品質保証QA、品質管理QC (75am38、74pm42,72am41,65.77) ・引渡試験(受け入れ試験:アクセプタンス) :業者が主体で行う装置の性能と安全性の確認をする試験  試験結果は、今後の装置の基準データとなる ・コミッショニング :ユーザーが定期的に行う品質の担保  受入れ試験に引き続いて、臨床利用に必要なデータ取得、計画装置への入力、登録データ確認などを行う一連の作業行程 ・QAプログラム :ガイドラインを参考に施設ごとに決める  技師,物理士,管理士等が行うことが推奨される ・リニアックの主な点検項目期間 (74am41、68am39、64.73、61.74) (1)毎日のQA  「X線、電子線出力不変性」:3%  「レーザー位置」  「アイソセンタ位置での距離計表示」  「コリメータサイズ表示」  「ドア、インターロック、照射灯など」 (2)毎月のQA  「不変性:★X線・電子線の出力・プロファイル、★バックアップモニタ線量計、電子線エネルギー、代表的な線量率における出力」  「幾何学的管理:★光/放射線照射野の一致、レーザー指示制度確認機器...

 暗記で乗り切れる治療機器系の問題と、計測学的理解が必要な線量系の問題に分かれる放射線治療技術学
 機器系はあきらめて暗記してください
 あと、腫瘍学的な問もあるのでそういった問題はこちらを↓

・腫瘍学 トップページ

腫瘍学 トップページ
腫瘍学 ・腫瘍学概論 ・腫瘍治療概論 ・脳腫瘍 / 頭頚部腫瘍 ・消化器系腫瘍 / 肺癌 ・前立腺癌 / 子宮頸癌 / 泌尿器系腫瘍 ・小児腫瘍 / リンパ腫・白血病 / 乳がん / 皮膚がん  本来診療放射線技師の国家試験科目にはありませんが、カテゴリとして分けてしまった方が良いかと考えて腫瘍学は独立したカテゴリにしました  出題される科目としては基礎医学か放射線治療技術学です  以下のリンクでどうぞ ・放射線治療技術学 トップページ ・基礎医学大要 トップページ 「オフラインでも対策ノートが見たい」 「広告が邪魔」 という声にお応えしたく、 電子書籍版(Kindle)の対策ノートを 用意しました!

・放射線治療 計算ドリル

放射線治療 計算ドリル 
MU値の計算  (74am43,73pm39,72am43,71pm37,70am38,69pm40,67pm37,66.76) 問1  ウェッジフィルタを使用した接線照射で標的に2Gy照射するとき、1門当たりのMU値はいくつか  ただし、線量比はすべて同等、TMR0.92、ウェッジ係数0.70、出力係数0.95、モニタ校正値1.02cGy/MUとする 答え 接線照射は2門で行い、2Gyを1:1で分けて照射するため1門あたりの照射は1Gy=100cGyとなる  1門あたりのMU値 =100/(0.92×0.7×0.95×1.02) ≒160   解説   基本的に上記の式のみで完結する問題  分子に来るのは処方線量だけなので、式も覚えやすい  処方線量が2GyとGy単位で書かれていることが多く、校正値はcGy/MUで書かれていることが多いので単位を揃えるのを忘れないようにすること  この問いのように門数でなく、照射方法で書いてある場合もあり、接線照射が2門で行われることを知っていないと解けない問題もある 問2  標的に対して電子線を80%線量域に3Gy照射する場合にMU値はいくつか  ...

 計測系は放射線計測学と絡めて覚えましょう
 理解できなければ標準計測法12という本を読みましょう
 たぶんもっとわからなくなります

 あと個人的には医学物理士制度が機能していない現状、装置管理に関してはもっと内容を濃くした方が良いと考えている
 専門技師制度に頼れない現状では国家試験レベルでは臨床において明らかに内容不足

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・★マーク:特に重要な箇所


・出題年数の見方
 例:(71pm72、67pm13.pm75、66.26)とある場合
 71pm72 → 第71回の午後72問
 67pm13pm75 → 第67回の午後13問と午後75問
 66.26 → 第66回のその教科がある方の26問
(放射化学から医用画像情報学までは午前、基礎医学大要から安全管理学までは午後)
*第66回までは午前午後で出題される科目が分かれていたため

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