腫瘍治療概論
(60.78)
治療可能比(TR)
TR=腫瘍組織の障害/正常組織の障害
=正常組織の耐容線量(TD)/腫瘍制御線量(TCD)
治療可能比が1以上ならば治療可能
線量の集中性を高めることで正常組織にはTD以下, がん組織にはTCD以上を与えることができる可能性もある
・腫瘍制御量(TCD)に影響する因子
:組織型と腫瘍体積(細胞数)
・正常組織耐用線量(TD)
:TCD同様に組織の種類と大きさに依存する。
通常TD5/5の値を用いる
放射線治療の障害
↓ リスク臓器について
「対策ノート:耐用線量」
・早期反応
:「粘膜」「皮膚」「腸管」「骨髄」など
・晩期反応
:「脊髄」「中枢神経」「肝臓」など
放射線治療に対する臓器の反応
(71pm44、68pm44、66.88)
・並列臓器
:「肺」「肝臓」「腎臓」
→ 照射される体積が重要になる
・直列臓器
:「心臓」「脊髄」「肺門部」「肝門部」「腸管」
→ 照射される最大線量が重要になる
放射線治療の禁忌
:「妊婦」(68am36)
局所制御率・奏効率
(61.70)
下記のPR以上に効果があった割合
・完全奏効CR
:すべての病変が消失
・部分奏効PR
:標的病変の最長径の和が30%以上減少
・安定SD
:PRよりは腫瘍の縮小がなくPDよりは腫瘍の増大が不十分
・進行PD
:治療開始以降に記録された最長径の和と比較して標的病変が20%以上増加
・奏効率=(CR+PR)/全対象
腫瘍ごとの治療線量まとめ
*特に記述がない場合3D-CRTの線量とする
(74am38、73pm42、70am44、68pm40)
★前立腺がん
:3D-CRTで70Gy/35回、
IMRTで74~78Gy/37~39回
★乳房
:45~50Gy/25~28回
(ブースト照射有で+10 Gy/5 回)
(加速乳房部分照射では42.5 Gy/16 回)
・喉頭がん、咽頭がん
:60~70Gy/30~35回
・食道癌
:60~70Gy/30~35回
・小細胞肺癌加速過分割照射法
:45Gy/30 回/3週
(不可能な場合は通常分割照射法50〜60Gy/25〜30 回/5〜6週)
・非小細胞肺癌
:60 Gy/30 回/6 週以上の線量
・ホジキンリンパ腫
:30~40Gy/15~20回
・膠芽腫
:60Gy/30回
・転移性骨腫瘍
:8Gy/1回 または 20Gy/5回
★転移性脳腫瘍
:全脳照射は30Gy/10回、37.5Gy/15回
・予防的全脳照射
:25 Gy/10 回
主な予後因子
(76am40、73pm35、72pm35、71am35、70am35、67pm35、65.70、62.69)
・TNM分類:病期分類
T因子 | N因子 | M因子 | |
ステージⅠ | 1 | 0 | 0 |
ステージⅡ | 2 | 0 | 0 |
ステージⅢa | 3 | 0 | 0 |
ステージⅢb | 1~3 | 1 | 0 |
ステージⅣa | 4 | 0~2 | 0 |
ステージⅣb | 1~4 | 0~2 | 1 |
・T因子(0~4)
:原発腫瘍の広がり+大きさ
・N因子(0~3)
:所属リンパ節転移の有無と広がり、触知
・M因子(0、1)
:遠隔転移の有無
・c:臨床的な評価を表す
・r:一定の無病期間後に出現した再発腫瘍を表す
・p:術後病理組織学的分類を表す
*一度決定されると変更はされない
*疑わしい時には低い分類にする
*TNM分類以外の病期分類がよく使用される腫瘍
(68pm35)
「脳腫瘍:WHO grade」
「前立腺癌:Gleason score」
「悪性リンパ腫:Ann Arbor分類」
「多発性骨髄腫」
「子宮頸がん:FIGO分類」
・病理組織分類
(65.71)
高悪性度
:「低分化」「不整形」
「核分裂像が多い」「接触阻止能の喪失」
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