ICRP勧告

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1990年勧告

放射線防護の目標

便益をもたらす被ばくを伴う行為を、不当に制限することなく人の安全を確保する
個人の確定的影響の発生を防止すること
確率的影響の発生を容認できるレベルに抑えること

放射線防護体系

「行為」:被ばくを増加させる人間活動のこと
「介入」:被ばくを減少させる人間活動のこと

放射線防護の三原則とその順序(上から)

(73pm99、67am94、66.93、65.93、64.93)
・行為の正当化 
 「行為」はそれによって生ずる放射線障害を相殺するに十分な便益が必要
 → 十分な便益を伴う診療行為がこれにあたる

・防護の最適化 (71am9)
 被ばく線量を潜在被ばくも含め、経済的・社会的要因を考慮した上で、合理的に達成できる限り低く抑える
 *この原則はALARAの原則といわれる
 → 被ばく低減の工夫がこれにあたる

・個人の線量限度
 被ばくグループとその子孫が、最終的に被る害の全体の尺度をデトリメントという概念で表す
 → 被ばくの管理がこれにあたる

被ばくの区分 

(71am100、70am67、69am96.pm100、61.93)
・医療被ばく (67am89)
 直接の医療行為以外にも「介助者」や「臨床研究の志願者」や「患者の胚/胎児」の被ばくも対象となる 

*介助者の被ばく
:線量拘束値は成人で5mSv/事例、子供で1mSv/事例

*臨床研究の志願者の被ばく
:線量拘束値はその便益によって変動する

・公衆被ばく (74am97、64.102)
 線量限度:1mSv/年
 ラドンを除く自然放射線低線量生涯被ばくによる年齢別死亡リスクの推定結果を考慮した

・職業被ばく (67pm102)
 そのほとんどは自然線源によるもの
 職病被ばくが多い職種として「宇宙飛行士」「航空機乗務員」「ウラン鉱山職員」「医療職」などがある
 また、上記の者の胎児被ばくは公衆被ばくとみなされる

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2007年勧告

被ばく状況の分類

 (75pm98、71am96、70pm69)
 「行為」→「計画被ばく」  
 「介入」→「緊急時被ばく」と「現存被ばく

被ばく状況タイプ職業被ばく公衆被ばく 医療被ばく
計画被ばく線量限度+拘束値線量限度+拘束値診断参考レベル
緊急時被ばく参考レベル参考レベル
現存被ばく参考レベル

・計画被ばく状況
:report1990では「行為」の対象となる被ばく

・緊急時被ばく状況
:report1990では「介入」の対象となる被ばく
 不測の事態または悪意の行為から生じる予期せぬ被ばく状況

・現存被ばく状況
:report1990では「介入」の対象となる被ばく
 自然放射線による被ばくや過去の行為の結果として存在する被ばく状況

・線量限度(69am96、66.93、62.93)
医療被ばくを除いた計画被ばく個人または公衆を対象とする 
 すべての線源からの被ばくを考慮する

・線量拘束値
医療被ばくを除いた計画被ばくの最適化の上限値
 ある線源からの被ばくのみを考慮する

・参考レベル
緊急時被ばく+現存被ばくにおける最適化の参考上限値
 ある線源からの被ばくのみを考慮する

*診断参考レベル (DRL 2015) 

(75pm97、74am96、72am6、68am96)
 診断のため被ばく防護の最適化を目的としており、線量限度・拘束値などではない
 地域ごとに設定されるべき値であり、75%タイル値が採用されるべき値
 調査のためのレベルの一種であり、容易に測定される量、通常は空気中の吸収線量、あるいは単純な標準ファントムや代表的な患者の表面の組織等価物質における吸収線量に適用される

(1)X 線 CT 検査
CTDIvol(mGy)、DLP(mGy・cm)
 成人と小児でそれぞれ規定

・CTDI
:多重スキャンにおける中心スライスの中心点における平均線量(mGy)

*「患者の体型、」「臓器の不均一性」「長いスキャン長での散乱テイル」を無視しているので注意が必要

・DLP
:CTDIvol×長さL (mGy×cm)

(2)一般撮影
入射表面線量(ESD)(mGy)
 体からの後方散乱を含む空気の吸収線量で、皮膚の線量ではない

(3)マンモグラフィ
:平均乳腺線量(mGy)
 2.4mGy(95%タイル値)

(4)口内法 X 線撮影
患者入射線量(PED)(mGy)
 成人と10歳児で2等分法または平行法で測定
 咬合法、咬翼法は含まない

・PED
:患者背面散乱を含まないコーン先端自由空中カーマ

・DAP、KAP(面積線量)
:コーン先端での線束面積をPEDに乗じることで面積線量(dose-area product)を決定できる

(5)IVR
透視線量率(mGy/min)
 20 mGy/min (IVR基準点線量率≒患者照射基準点)
 87%タイル値を使用
 診断検査のみだけではなく、治療や救命の要素が高いため注意が必要  

(6)核医学
投与量DRL(MBq)

放射線加重係数

(71am98pm99、70pm99、69pm96、97pm98、66.94、64.71)

 加重係数
放射線の種類1990年勧告2007年勧告
光子
電子及びミュー粒子
10keV未満の中性子5連続関数
10keV≦中性子≦100keV10連続関数
100keV≦中性子≦2MeV20 連続関数
2MeV≦中性子≦20MeV10連続関数
20MeV≦中性子5連続関数
陽子及びπ中間子52
重粒子2020

 ・2007年に変更されたもの
 陽子:5 → 2
 中性子:階段関数 → 連続関数
 荷電π中間子2を新たに設定

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組織加重係数

(74pm97、73pm96、72pm65、71pm99、70am96.pm99、66.94、65.36.95、64.94、63.101、62.99、60.37)

組織名組織加重係数
「骨髄」「結腸」「肺」「胃」「乳房」「その他」0.12
「生殖腺」0.08
「膀胱」「肝」「食道」「甲状腺」0.04
「皮膚」「骨表面」「脳」「唾液腺」0.01

・その他に含まれるもの
「副腎」「小腸」「腎臓」「筋肉」
 「膵臓」「脾臓」「胸腺」「ET領域」

・2007年勧告から「その他」に追加されたもの
「子宮」「胆のう」「心臓」「リンパ節」
 「口内粘膜」「前立腺」「気管」

・2007年に変更されたもの
 生殖腺:0.2 → 0.08 
 乳房:0.05 → 0.12

*加重係数は低線量・低線量率において確率的影響のRBEを参考にして定められた

放射線安全管理学 計算ドリル
実効線量 (71pm99) 問1  乳房のみにX線が2mGy照射された場合の実効線量[mSv]はいくつか 答え実効線量=Σ((等価線量)×(組織加重係数)) 等価線量=Σ((ある組織・臓器の一点における吸収線量)×(放射線加重係数)) より 実効線量[mSv]=2×1×0.12=0.24 解説 実効線量の計算問題  式は非常に単純でかけていくだけだが、各係数を覚えておく必要があり、これは少し大変  しかし、組織加重係数、放射線加重係数ともに頻出問題であり、語呂合わせでも作って早々に覚えてしまったほうが楽  また、被ばく線量に関しては後述の不均等被ばくや実行線量率定数を用いた問題も多く出題されるのでそれぞれ混同しないように注意したい 放射線の遮蔽 (72am97) 問1 ある放射線に対する防護壁を設置する場合、放射線量を1/1000にするための厚さはいくつか  ただし、線減弱係数を1.7cm-1、ln10=2.3、散乱線、ビルドアップを考慮しないものとする 答え光子の強度I = I0×e-μx×B   I0:初期X線光子量    μ:線減弱係数(cm-1)  x:物質の厚さ(cm)  B...

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 赤シートは上記の商品ような下敷きタイプの大きいものがお勧め


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・出題年数の見方
 例:(71pm72、67pm13.pm75、66.26)とある場合
 71pm72 → 第71回の午後72問
 67pm13pm75 → 第67回の午後13問と午後75問
 66.26 → 第66回のその教科がある方の26問
(放射化学から医用画像情報学までは午前、基礎医学大要から安全管理学までは午後)
*第66回までは午前午後で出題される科目が分かれていたため

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