光子と物質の相互作用
(76pm71、74pm72、68pm39、68am70、67pm73、64.46、61.47、60.46)
相互作用 | 反応相手 | 光子のエネルギー | 二次電子 |
トムソン散乱 | 自由電子 | 不変 | なし |
レイリー散乱 | 軌道電子 | 不変 | なし |
光電効果 | 軌道電子 | 消滅 | 光電子 |
コンプトン散乱 | 自由電子、最外殻電子 | 散乱 | 反跳電子 |
電子対生成 | 原子核 | 消滅 | 原子、陽電子 |
三電子生成 | 軌道電子 | 消滅 | 原子、陽電子 |
光核反応 | 原子核 | 消滅 | なし |
弾性散乱
(69pm71)
・光子の波動性を示す反応
・トムソン散乱
自由電子との相互作用
光子のエネルギーは変化せず、進行方向が変化する
・レイリー散乱(干渉性散乱)
軌道電子との相互作用
光子のエネルギーは変化せず、進行方向が変化する
光電効果
(75pm72、68am72)
・光子のエネルギーEe
Ee=Er‐Eb
Er:光子のエネルギー
Eb:軌道電子のエネルギー
・光電子エネルギー
K殻光電子<L殻光電子
・吸収端 (71pm73、63.46)
光子のエネルギーが各殻の軌道電子放出に必要なエネルギーを上回り、減弱係数が急激に大きくなる場所
エネルギー:L吸収端 < K吸収端
K吸収端のエネルギー:13.6×(Z-1)2[eV]
・反応断面積τ∝Z5×Er-3.5
Z:ターゲットの原子番号
・光子の粒子性を示す反応
・光電ピーク(全エネルギーピーク)
放出されたγ線がすべてのエネルギーを電子に与えて検出器に検出されるピーク
・入射光子のエネルギーがK殻電子電離エネルギーよりも大きい場合、光電子の80%がK殻光電子となる
コンプトン散乱(非弾性散乱)
(73pm72)
・散乱光子のエネルギーEr′
$$Er′=\frac { Er }{ 1+\frac { Er }{ meC^{ 2 } } (1-cosθ) } =\frac { Er }{ 1+α(1-cosθ) } $$
*α=Er/(meC2 )
・コンプトン電子のエネルギーEe
Ee = Er‐Er′
$$Ee=\frac { Er }{ 1+\frac { meC^{ 2 } }{ Er(1-cosθ) } } =\frac { Er×α(1-cosθ) }{ 1+α(1-cosθ) } $$
・Ee maxのとき、Er′min
*180度散乱:コンプトン端
Er′min = Er/(1+2α)
Ee max = (Er×2α)/(1+2α)
・Ee minのとき、Er′max
*0度散乱、反跳電子は90度散乱
Er′max= Er
Ee min = 0
*θ:0~180度に散乱する
*Φ:0~90度に散乱する
*meC2:電子の静止エネルギー
・反応断面積σ∝Z
*面密度[g/cm2]が同じであれば物質によらない
・光子の粒子性を示す反応
・コンプトン連続部
コンプトン散乱で生じた反跳電子がとる0から最大エネルギーEmaxまでの連続分布
・コンプトン端
散乱角が180度の場合に電子に最もエネルギーを与えて、光子が検出器から出ていく場所
コンプトン連続部の終わり
・後方散乱ピーク
検出器以外で後方散乱した散乱光子(最小エネルギーとなっている)が検出されて生じるピーク

電子対生成
(69am72、68pm72、67pm73、60.47)
・光子(Er=hν)がクーロン場で消滅し、電子-陽電子対が生成される現象
入射光子のエネルギーEr
Er = 2meC2 + Krec +Kp + Ke
Krec:反跳粒子の運動エネルギー
(原子核の場合は≒0)
Kp + Ke:電子対の運動エネルギー
KpとKeには連続的に分配される
Kp + Ke=Er – (2meC2+ Krec)
・閾値:1.022[MeV]
・反応断面積κ∝Z2
三電子対生成
(68pm72)
・電子のクーロン場で電子対生成が起こる現象
→ 電子×2+陽電子にエネルギーが連続的に分配される
・閾値2.044[MeV]
(Krec=hν/2となるため)
光核反応
(76pm80)
高エネルギーγ線が原子核に当たると、ある確率で吸収され、原子核を励起し、そのエネルギーが原子核内の核子の結合エネルギーを超えると、核子は核外へ飛び出す
・光子の粒子性を示す反応
・反応断面積
:γ線のエネルギーが15~20MeVで最大
・(γ,p),(γ,n),(γ,d),(γ,α),(γ,fission)などの反応が起こる
(γ,n)は10~20MeVで起こりやすい
・閾値は存在する(だいたい結合エネルギーである8~10MeV程度)
Q値は負
(回析)
(69pm71)
・ブラッグの反射条件を満たした場合に、Xは回析する
→ 結晶の構造解析に利用
・光子の波動性を示す反応
光子エネルギーの伝達
(72pm80、65.46)
・質量減弱係数μ/ρ
μ/ρ = (τ+σ+κ)×N÷ρ
N:1cm3中の原子数
ρ:物質の密度
・質量エネルギー転移係数μtr/ρ
$$μtr/ρ=[(1-\frac { δ }{ Er } )×τ+(1-\frac { hν^{ ‘ }-δ }{ Er } )×σ+(1-\frac { 2mC^{ 2 } }{ Er } )κ]×N÷ρ$$
δ:特性X線の平均エネルギー
*各項はそれぞれ「光電効果」「コンプトン散乱」「電子対生成」で損失するエネルギーを表す
・質量エネルギー吸収係数μen/ρ
μen/ρ= μtr/ρ×(1‐G)
G:制動放射により失われる二次電子のエネルギーの割合
光子の減弱
(72am97、70pm72、62.47、61.48)
・光子の強度I
I = I0×e-μx×B
I0:初期X線光子量
μ:線減弱係数(cm-1)
x:物質の厚さ(cm)
B:ビルドアップ係数
=(全光子数)÷(直接光子数)
=1+(散乱光子数)÷(直接光子数)
半価層
(76pm83、75pm100、68pm71、67pm83、63.66、61.60)
・半価層X1/2
X1/2= ln2/μ
= 0.693/μ
・1/10価層X1/10
X1/10= ln10/μ
= 2.3/μ
・(第一)半価層H1
:線量が初めの半分となる吸収板の厚さ
・第二半価層H2
:さらに線量を半分とする厚さ
・均等度 = H1/H2
・不均等度 = H2/H1
*特性X線ではH1=H2となり
連続X線では均等度<1、不均等度>1
・半価層への(大きくなる)影響因子 (62.67)
「散乱線の混入」
「最大エネルギーの上昇」
「X線スペクトルの高エネルギーシフト」
・半価層の測定方法
(74pm83,72am80)
[X線管球]
[付加フィルタ] :Al製
↓50cm程度離す
[半価層測定用付加フィルタ] :Al製
↓
[電離箱線量計]:X線管球まで150cm程度の距離にする
*線量計と壁や床(ディテクタを取り除けない場合はディテクタ)の距離は45cm以上離す
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