散乱X線除去用グリッド
・定義
(69am84)
X線受像面に入射する散乱X線の量を減少させることにより、X線像のコントラストを改善する
受像面の前に置く
・散乱X線の性質
散乱X線含有率は照射野の大きさと被写体の厚さに依存する
高管電圧ほど高グリッドが必要
・構造
(65.16)
薄い鉛箔とX線吸収の少ない中間物質(アルミ)の薄い板を交互に配置
散乱線除去用グリッドの中間物質はX線吸収の少ないものを使う
→ アルミニウム、紙、木、合成樹脂
・種類
1、直線グリッド
:箔を長手方向に平行になるように構成
2、平行グリッド
:箔の延長が互いに平行で入射面に垂直
→ 集束距離は無限大
集束型よりもカットオフが多い
3、集束グリッド
:箔の面の延長が1つの直線に集束
4、クロスグリッド
:2枚の直線グリッドをそれらの箔の方向がある角度を持つように一体形成したもの
5、運動グリッド
:ブッキーブレンデともいう
※病室撮影ではグリッドに対してX線が斜入する可能性が高いため
低格子比のグリッドがよい
・幾何学的性能
(75pm5、73pm8、72am11、68pm10、67pm7、63.13)
h:吸収箔の高さ
d:吸収箔の厚さ
D:吸収箔の間隔
①グリッド密度N
:グリッド中心部でのl cm当たりの吸収箔の本数[cm-1]
30 ~ 100本/cm程度
N=1/(d+D)
②グリッド比
:グリッド中心部での吸収箔の高さと間隔の比
3:1~ 16:1程度
r=h/D
③集束距離
:集束グリッドの箔の面の延長が集束する線(集束線)からグリッド入射面までの距離[cm]
④使用距離限界
:診断に有効なX線像が得られる焦点 -グリッド入射面間距離 [cm]
平行グリッドでは下限値のみが、集束グリッドでは上限値と下限値が決まっている
・物理的性能
(76am9、71am7、70am9、70pm8、68pm10、67pm7、63.13)
①グリッド露出係数:露出倍率B
B=1÷全X線透過率
=入射全X線強度÷透過全X線強度
B>1
②コントラスト改善度K
K=一次X線透過率÷全X線透過率
K>1
③ 選択度Σ
Σ=一次X線透過率÷散乱X線透過率
④イメージ改善係数Q
Q=一次X線透過率^2÷全X線透過率
①②③ともに、
グリッド比に比例、管電圧、グリッド密度に反比例
・仮想グリッド
(74pm8)
画像コントラストを低下させる散乱線を推定して抑制する「コントラスト改善処理」と粒状性を改善させる「粒状性改善処理」によって構成される仮想的なグリッドの処理
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