Ⅻ.X線撮影技術学

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X線撮影の基礎

写真効果、撮影条件計算 ・X線強度(蛍光量)E  (72pm88、66.70、65.69、63.69) $$E=\frac { 「管電圧」^{ 2 }×「管電流」×「照射時間」 }{ 「撮影距離」^{ 2 } } $$ ・半影と拡大率  (76am90、75am90、74am93、73pm85、71am85、67pm86、61.69)  半影の大きさH  H = (M-1)×f    M:拡大率  f:焦点の大きさ  拡大率M   M = (a+b)/a    = 1+b/a  a:焦点被写体間距離  b:被写体受像面間距離  a+b:撮影距離 ・重積効果  (72am83)  2つ以上の構造が重なって存在する場合、それらの減弱係数の相違によって、画像として描出が不可能な場合がある ・接線効果  被写体の隣り合う構造にその境界面を挟んであるレベル以上の減弱係数の差がある場合、その境界面に接点を持つようにエックス線速が入射されるとその構造の輪郭が明瞭に描出される効果 被曝と散乱線  ・散乱線の多くなる因子  (68am84) 「被写体の減弱係数:高い」 「被写体の厚さ:厚い」 「照射面積...
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椎体、顔面、頭部の単純撮影法

頸椎撮影 (72pm92) ・頸椎 正面撮影 (74pm88、66.82、65.71)  3~7頸椎と椎間の形状、ルシュカ関節の観察 ・体位 :下顎骨と後頭結節が重なり合うように顎を上げる ・中心線 :X線は水平から尾頭方向へ10~15°射入させる (74pm88) ・頸椎 開口撮影  (65.71)  環椎-軸椎の観察 ・体位 :上顎の前歯と後頭結節を結ぶ線をフィルムに垂直にする ・頚椎 側面撮影(中間位、前・後屈位)  (65.71)  1~7頸椎と椎間の形状観察、機能撮影  後縦靭帯骨化症や圧迫骨折、アライメント(椎体配置)の観察 ・頚椎 斜位撮影   (65.71、63.74、61.82)  椎間孔、ルシュカ関節などの観察 ・体位 :非検側をフィルムに対して前額面を50°斜位、軽度上方を向かせる。 ・中心線 :尾頭方向に10°で斜入 胸椎撮影 ・上位胸椎側面撮影(スイマー法) :椎体骨と椎間の形状観察 腰椎・仙椎・尾骨撮影  (61.74、60.72)  基本的に呼気撮影  中心は腸骨稜上縁(第三腰椎)  カセッテに対して垂直に入射 *生殖器の防護 :男は可能、女は仙骨が見えな...
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四肢の単純撮影法

肩の撮影 ・肩関節 正面  (72pm91、67am85、62.73) ・体位 :上腕は自然に下垂し、機能的基本肢位とする  手掌は軽度回内(内旋)する ・中心線 :頭尾方向に20°で入射 ・肩正面・上腕骨 内(外)旋位撮影  鎖骨・肩峰・上腕骨の重なりが少なく描写する ・肩関節 尾頭方向軸位撮影  肩甲骨関節面がほぼ接線となり、上腕骨頭と関節面の関係が明瞭に観察できる ・中心線 :外側から体軸方向に30~45°で入射する ・肩関節 Yビュー撮影  肩峰角および上腕骨頭の観察 ・中心線 :頭尾方向に20°で入射する ・肩鎖関節 前後方向撮影 ・中心線 :尾頭方向に10°で入射する ・鎖骨 斜位撮影 ・中心線 :頭尾方向か尾頭方向に20°で入射する ・ストライカー法(肩関節半軸位) :反復性肩関節脱臼に見られるHill-sachs損傷の観察 ・ウエストポイント法 ・肩甲骨 軸位撮影  (73pm86:肩甲骨軸位撮影) 上腕の撮影 ・上腕骨 正面撮影 ・体位 :上腕は下垂させ、体側から離し、少し外転する  肘関節は伸展しカセッテに対し平行にし、前額面を正面にする ・上腕骨 側面撮影 ・体位...
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胸腹部の単純撮影法

胸部立位正面撮影 (76pm92、75am86、65.85、61.71) (1) 撮影ポイント ・撮影方向:PA(後前)方向 (64.73)  目的 :「心臓、鎖骨の拡大率を小さくする」  「肺野の観察領域を広げる」  「前胸部と受像面の密着が良い」  「腕のポジショニングにより肩甲骨を肺野からはずしやすい」 ・体位  (64.74、61.72)  肩の力を抜き、両手背部を下げ腰外部にあて、肘を前に出し、肩甲骨を肺野からはずす  基本的に吸気撮影  → 正確な心胸郭比を描出できる   (気管支異物の場合は呼気撮影が有効)     肺野の観察域を広げる    肺野のコントラストを上げる ・X線中心  (64.74)  第6~7胸椎の高さで、検出器に垂直に入射する  位置合わせは隆椎の位置を確認し、照射野内に入るようにする (2)撮影条件  (71pm88、64.74、63.76、62.75) ・管電圧:120~140kVの高管電圧撮影が主流 (70am86)  目的 :「各組織の濃度差を少なくして、気管支分岐部、心陰影、縦隔部陰影の観察を容易にする」  「被曝線量の低減のため」 ・撮影距...
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マンモグラフィ / 骨塩定量検査 / Ai

マンモグラフィ ・MLO撮影  (76am84、72am92、70pm87、68am86、63.75、61.75、60.71)  乳がん好発部位である外側・上部が写しこみやすく、一枚で乳腺全体を描出しやすい  乳頭が完全な側面像で描出される ・体位 :立位あるいは座位、カセッテホルダは外側に向ける ・撮影方法 :水平に対して60~70°程度(大胸筋の走行にあわせて)撮影台の角度を決定する  カセッテ面に対して直角に照射  大胸筋は乳頭の高さまで描出する、胸筋が入りすぎると圧迫不足になりやすい ・撮影距離 :65cmと短い ・圧迫 :通常100~120N程度の圧迫を正中側から行う   以下に主な理由を挙げる ① 乳房厚が均一になり、乳腺全域が適切な画像濃度となる ② 散乱線が減少してコントラスト及び分解能が向上する ③ 乳腺構造組織が分離され、組織間コントラストが向上する ④ 低いX線エネルギーの使用によりコントラストが向上する ⑤ 乳房が固定され、動きによるボケの防止 ⑥ 被曝が減少する ⑦ 被写体―受像器間距離が短くなり、幾何学的ボケが小さくなる ・AEC :カセッテ後面の位置とする...
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造影剤

Ⅰ.ヨード系造影剤  ・構造 (1)イオン性モノマー :副作用の頻度が多いため、使用が減少  胆道系、ろう孔の造影に使用 (2)非イオン性モノマー(71am88) :最も多く使用されている  脳室・脳槽・脊髄腔の造影にも適する  (3)イオン性ダイマー   (4)非イオン性ダイマー ・比較 (74pm92、66.75)  ヨード濃度:高いほどX線吸収率が高い  浸透圧:イオン性>非イオン性        モノマー>ダイマー  粘稠度:ダイマー>モノマー  造影効果:ダイマー>モノマー    ★副作用:イオン性>非イオン性 ・禁忌 (71am91、70am87、69am88、66.30、62.69) ・絶対禁忌 :「ヨード過敏症」  「重篤な甲状腺機能亢進症」  「重症筋無力症」 ・原則禁忌 :「気管支喘息」  「重篤な心・肝・腎疾患をもつ患者」  「急性膵炎」  「マクログロブリン血症」  「多発性骨髄腫」  「褐色細胞腫」  「テタニー病」 *使用前に「eGFR」や「クレアチニン値」、「ヨード過敏症の有無」などを確認する ・副作用 (74pm64、71pm90、64.30、62.78...
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上部消化管造影検査

胃の造影検査(上部消化管造影)  (64.80、62.79、60.76)  ・蠕動運動と胃液分泌の抑制のため鎮痙攣剤(抗コリン薬:副交感神経遮断のため)を筋肉注射する  胃泡には消泡剤を使用する ・体位変換の目的 :「胃粘液の除去」  「造影剤付着の向上」  「造影剤を広く薄く広げる」 ・撮影後処置 :「水分を多量に取らせる」 ・胃の解剖学的構造 *ポイント  上部が背側方向、下部が腹側方向に傾いている  胃角部で下端となる ・二重造影法 (70pm89)  発泡剤(陰性造影剤)により胃壁を進展させ、胃小区を描出する方法 背臥位正面(76pm85、73am83) :胃角部を中心として、幽門部~前庭部の後壁(造影剤は穹窿部) (76pm85) 背臥位第1斜位 :胃体中・下部,胃角部,前庭部, 十二指腸球部 (造影剤は穹窿部) 背臥位第2斜位 (60.77) :胃体部,小湾,大湾を観察(造影剤は穹窿部,前庭部に振り分け)   半立位第二斜位 (Schatzki位) (74pm93,69pm89) :噴門部・穹窿部の観察 (69pm89) 腹臥位正面 (65.81) :前庭部・胃角部の前壁 ...
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造影検査とIVR

注腸造影 (74am64、70pm89、68am87、67pm87、62.31) :逆行的に造影剤を投与し、二重造影法が主流で、充満法、粘膜法、圧迫法も行われる  Brown法が主流で、Fischer法、Welin法なども行われる  Brown法では前日に低脂肪、低繊維食をとる  多量の水分を摂取する ・前投薬 :抗コリン薬 *Apple core sign  :大腸進行がんの代表的な悪性所見 (67pm93:Apple core sign) 消化管領域のIVR ・拡張術 (66.77)  胆管拡張術:ステントなどを用いる、胆がんなどが適応  ・ステント留置 ・イレウスチューブの挿入 ・内視鏡的結石除去術  (63.79)  バスケットカテーテルを使用  :結石等を挟み込んで体外に排出する道具 胆道・膵臓造影検査 (73am84、72am85pm90) ・PTC(Percutaneous transhepatic cholangiography) :経皮経肝胆道造影  PTCD(D:drainage)   :経皮経肝胆道ドレナージ ・ERCP(Endoscopic retrograde...
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放射線技師としての・・・問題

(76pm86、75am63、74am86、72am53.89pm85、71am83.92、71am25、70am25.pm84、69am25.83.pm84、68am83、67am83、66.68.am49、65pm68、64pm68.am49.69、63am49、62.68、61.68) 検査の流れ ・患者確認 :検査前に、自ら名乗ってもらう   名乗れない場合は患者タグやネームバンドで確認をする ・検査説明 :介護者にも説明  CTでは該当部位の金属、X線撮影時には+プラスチックなどを外す  MRでは禁忌チェックを行う ・検査実施 :医師の指示に基づいて撮影を行う  ポジショニングは体表ポイントを参考にする  病室でのポータブルは対象以外の人は可能な限り移動させる  外傷部位を触らずにポジショニング、頸椎損傷ネックカラーは外さずに検査  検査中に急変があった場合は医師の指示を受ける  移動の介助等も行う  放射線技師による穿刺、造影剤などの薬剤投与、ゾンデの使用は禁止 →診療放射線技師法の改正に関してはこちら  過去問とは業務範囲など、現在とは違っているところがあるので注意 感染...
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X線撮影技術学 計算ドリル

撮影条件 (72pm88,70pm85,66.70) 問1  管電圧70kV、管電流100mA、撮影時間0.5s、SID100cmの撮影条件を管電圧及び画像処理条件を変化させずに、管電流150mA、SID150cmにした場合、同一濃度を得る撮影時間[s]はいくつか 答えX線強度(蛍光量)E  より、撮影時間の係数xは 100/1002=x×150/1502 x=3/2 撮影時間は0.5×3/2=0.75s   解説 X線強度に関する問題  この問題では同一濃度を求める形にしてあり、これが蛍光量であったり、または偏差指標DIであったりする場合もあるが、基本的に解き方に変わりはないので冷静に対処したい  似た問題で、被ばく量や鮮鋭度、コントラストなどが出題対象となる場合もあり、こちらに関しては     各指標に影響する因子をそれぞれ覚えておく必要があるので混同しないように注意しておきたい 焦点 (74am93, 67pm86) 問1  2倍の拡大撮影時の半影が0.1mmであったとき、その他条件を変化させず、3倍で拡大撮影を行った場合の半影[mm]はいくつか 答え半影の大きさH = (M-1...
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