X線TV装置{イメージインテンシファイアを用いたもの}
X線TV装置の構成
(67am7)
①イメージインテンシフアイア(I.I.)
:人体透過X線を明るい可視像に変換
②タンデムレンズ
:I.I.の出力像を忠実にTVカメラに入力する光学レンズ
③撮像管・固体撮像素子(CCD)
:I.I.の可視光(像)を電気信号に変換
④映像回路
:電気信号から電子ビームを走査するための映像信号を作成
⑤TVモニタ
:映像信号により電子ビームを走査して動画像を表示
I.I.の構造
(72am14、66.13、64.15、61.91)
電圧を切り替えることによって入力視野を小さくすることにより、出力像を拡大表示できる
集東電極=フォーカス電極、陽極≒加速電極など、問題ごとに言い方が変化する
・内部
:高真空
・入力窓
:硼珪酸ガラス,アルミニウム,チタニウム
・入力蛍光面
:CsIの微細柱状構造(厚み400μm)
横方向への光散乱防止
蛍光体にはCsI:Naを用いる
・出力蛍光面
:硫化亜鉛系(Zn、Cd)S:Ag
・入力蛍光面・出力蛍光面が厚いと
→ 高感度になりX線- 光変換効率が向上する
→ 光の拡散によるボケ増加で、空間分解能が低下
I.I.の基本動作
(76pm5、73pm7、66.15、60.19)
X線により入力蛍光面に蛍光像を形成、隣接する光電面から蛍光像強度に比例した光電子が放出され、集東電極・陽極により25 ~ 30kVで加速・集束され、出力蛍光面に衝突・発光し、明るい蛍光像を形成する
X線像をリアルタイムに可視光に変換する
出力蛍光面輝度∝陽極電圧/(像の拡大率)2
→ 出力輝度は視野が小さいほど暗い
入力視野が大きい
→ 縮小率が大きくなり高輝度
(出力像サイズは固定のため)
解像度は悪い
入力視野が小さい
→ 縮小率も小さくなり低輝度
同じ輝度を得るには被曝が増える
*入力視野は陽極電圧(集束電極)への印加電圧によって制御し、入力視野によってコントラストは変化しない
I.I.の性能を表す指標:特性
(68am8、62.14、61.13)
*上の7つは性能試験項目でもある
(1)変換係数Gx
Gx= 出力像中心の輝度[cd/m2]/入射野中心での空気カーマ率[μGy/s]
大きいほど高感度
(2)コントラスト比Cr
Cr= 鉛円板がないときの中心輝度/入射面中央部に鉛円板があるときの中心輝度
(3)解像度
X線用解像力チャートでの見分けうる限界の本数[Lp/cm]
中心部で優れ、周辺部で大きく低下する
(4)量子検出効率DQE
入射X線のS/N(信号対雑音)比とI.I.出力像のS/N比のエネルギー比
(5)空間分解能
入力視野が小さいほど解像力は高くなり、中心部が高く、周辺部が低い
(6)画像歪み
中心部と周辺部の拡大率の違い
入射面視野に比例(5 ~ 10%)
入力面の視野が大きいほど像の歪みは大きくなる
(7)入射面視野寸法
(8)輝度分布および輝度不均一度
中心部に対する周辺部の輝度比(60 ~ 90%)
撮像装置(撮像管・CCDカメラ)
(68pm8、65.13)
・撮像管
:電子ビームの走査により可視像を電気信号に変換する電子管
・固体撮像素子(CCDカメラ)
:入射光のエネルギーに比例した電荷を蓄積する電荷結合素子
比較項目 | CCD | 撮像管 |
空間分解能 | 高い | 低い |
ダイナミックレンジ | 広い | 狭い |
残像・焼き付き | 少ない | あり |
機械的強度 | 強い | 弱い(ガラス製) |
歪み、磁界の影響 | なし | あり |
消費電力 | 少ない | 多い |
経年変化 | 半永久的 | 劣化あり |
その他 | ハレーションに強い | |
出画時間 | 早い | 遅い |
X線透視装置の種類
(68pm9)
・オーバーチューブ型
(管球が上、検出器が下)
患者の被ばくが少ない、手技が行いやすく、汎用性が高い
術者の被ばく(主に患者からの散乱線)が多い
任意の方向からの撮影には限界が多い
・アンダーチューブ型
(検出器が上、管球が下)
検出器が近いと手技が行いにくいことがある
遠ざけると画質が低下する
術者の被ばくが少ない
DF(≒DSA)装置
心血管用・脳血管用X線診断装置
(69pm88、67am9、70am48)
構成:X線管- I.I.保持装置
→ Cアーム、Lアーム、Uアーム、Ωアームなど
1、バイプレーン装置
(71am90、65pm75)
交互の高速X線照射による同時2方向撮影機構
I.I.ブランキングで散乱線影響防止
利点:「造影剤の使用量低減」
「左室造影像から駆出率の評価が可能」
「検査時間の短縮」
「同位相の画像収集可能」
「検査精度向上」
2、X線発生装置
:テトロード制御方式、インバータ式、被ばく低減を目的としたパルス透視
3、シネ撮影装置
:I.I.の出力像を 35mmシネカメラを用いてシネ撮影
左室造影では30~90f/s
冠動脈造影では30~60f/s
4、DSA装置
:時間差分法によって造影された血管を高コントラストに描出する
補償フィルタ
(69pm88)
X線吸収の差が大きい部位ではハレーション防止のため補償フィルタやボーラス等を使用する
サブトラクション処理
(61.20)
1)時間差分法
連続的にマスク像とコントラスト像を収集・処理して表示する
2枚の画像間に時間的な隔たりがあり、マスク像とライブ像がずれた状態で差分されモーションアーチファクト(ミスレジストレーション)が生じる
→ リマスキング処理が有効
2)エネルギー差分法
異なったエネルギーで撮影した画像間でサブトラクションを行う
画像処理
(75am13、66.15)
1)アーチファクト補正処理
リマスキング:体動などのずれに対しその後の像をマスク像として処理する
2)画像加算
ノイズ低減のため時間フィルタにより画像を改善
・リカーシブルフィルタ処理
:前の画像に遡り、次第に小さい値をかけて加算し、ノイズを低減する
増感紙・フィルム系との比較
(61.20)
コントラスト分解能:DSA>増感紙・フィルムシステム
空間分解能:増感紙・フィルムシステム>DSA
使用する造影剤の濃度:増感紙・フィルムシステム>DSA
コメント