MRI装置の構成 / MRIの特徴
MRI装置の構成 1、静磁場磁石 (75am11、74am12、68am13、67am12) ・永久磁石 常時稼働し、消費電力が小さく漏洩磁場が少なく、低価格で冷却装置が不要のため維持費が安い 温度変化により磁場強度が変動するため、恒温制御(断熱材や空調設備など)が必要 非常に重い 静磁場は0.15~0.3T程度で水平方向 ・常電導磁石 銅またはアルミニウムのコイルに加える電流を変化させ稼働できるが消費電力が大きく、 コイル発熱や温度特性により冷却設備が必要である 磁場の切断が容易 ・超電導磁石 電気抵抗のない超電導状態で永久電流が得られ、定電流制御を必要とせず電力消費が少ない 未使用時でも磁場は発生しており、均一性や磁場の安定性に優れているが、漏洩磁場が多い 起電導状態を保つため液体ヘリウムで低温状態にさせ、強い電流で高磁場を得る 超伝導状態の静磁場コイルの消費電力は0 液体ヘリウムの蒸発は画質に影響を及ぼさない *クライオスタット :真空断熱容器で液体ヘリウムで満たされている ・性能比較 磁場の空間的均一性の良さ:超電導磁石>永久磁石 分解能:超電導磁...
信号の発生原理 / MRIの基本的なパラメータ
信号の発生原理 磁気モーメント (72pm74) 磁気双極子において、磁極の量と距離の積からなるベクトル 1Hは、全ての核種の中で最も核磁気モーメントが強い 原子・分子の陽子・中性子の数が同じかつ偶数だと磁気モーメントは生じない 歳差運動と磁化および共鳴励起 (75am74、74am74、73am74、69am11、63.19.30、62.23、61.24、60.31) ・歳差運動 :自転軸が時間の経過に従いその中心軸が傾き、先端が円を描くようになるような運動 歳差運動の共鳴周波数f=(γ・B0)/2π ω=γ・B0 γ:磁気回転比 B0:静磁場の強さ 磁束密度 コイルに流れる電流に比例して大きくなる ・MRIで主に用いられる核腫と共鳴周波数 核腫 1H 13C 19F 23Na 31P 共鳴周波数 42.58 10.71 40.10 11.26 17.24 緩和時間:T1、T2 (71pm12、70pm11、69pm74、68pm74) 絶対的にT1値>T2値> T2*値となる(純水のみ同じ) ・T1緩和 縦緩和、90°パ...
撮像の原理(パルスシーケンス)
スピンエコー法(Spin Echo:SE法) (65.40) TR、TEを調整することでT1強調画像、T2強調画像、プロトン密度強調画像などを得る方法 以下に基本的シーケンスを示す 1、静磁場に被写体が入る -プロトンの周波数は揃っており、位相は分散している 2、Gzを加えながら、90°パルスを与える Gz:Gzが加えられながら(位相がさらに分散)、90°パルスによって位相が揃い、 加えられ続けているGzによってまた位相がGzにそってずれる Gzはその後逆向きになり、Gzの位相は再収束する Gy、Gx:90°パルスでそれぞれそろった状態になる 3、Gyを強度を変えながら加えていく Gy:加えられた強度ごとにずれた状態になる (3.1、Gxを加える) 4、Gzを加えながら、180°パルスを与える Gz:Gzを加えられながら(位相がGzにそってずれ)、180°パルスで位相が反転、加えられ続けているGzによって再収束する Gy、Gx:180°パルスでそれぞれ反転状態になる 5、Gxを加えながら(位相がそろった状態で)エコー収集を行う -3.1を行っていない場...
撮像時間短縮方法 / 脂肪抑制方法
撮像時間を短くする手法 (76pm16、71am15、70am15、69pm15、67am15、66.30) ・撮像時間 撮像時間=TR×N×撮像加算回数÷ETL TR:繰り返し時間 ETL:エコーの数(Echo train length) → SE法のときのみ N:位相エンコード数 撮像加算回数:信号雑音比を上げるため同信号を取り出す回数 *GRE法ではTRの短縮、高速SE法ではETLに応じて撮像時間を短縮する *TR,ETLを変更すると、画像コントラストが変わってしまう *位相エンコード数を減らすと空間分解能を劣化させるか位相エンコード方向撮像視野を限定する必要がある ・高速シーケンス 1.高速スピンエコー (74pm21、72am15、67pm16) 撮像時間が短く、T2強調画像を得るための方法として主流 磁化率効果が減少する 脂肪信号が上昇する 脳実質のコントラストが低下する 眼球の硝子体は高信号になる 2.EPI 一回のくり返し時間で必要とするk空間の位相エンコードラインの情報をすべてとっている 読取の傾斜磁場をジグザグにして、位相エンコー...
・拡散強調 / fMRI / MRS / DTI / SWI / 潅流 / プロトン密度強調 / CPMG
拡散強調 / fMRI / MRS / DTI / SWI / 潅流 / プロトン密度強調 / CPMG
拡散強調画像(ディフュージョン:DWI) (75pm20、72pm22、71pm22、70am16、66.31、61.40) ・EPI法で撮像 ・組織の水分子のブラウン運動の強さを強い一対の傾斜磁場(MPG:motion proving gradient)を用いることで水分子の拡散の大きさの違いを信号強度として画像化する ・水分子の拡散が低下すると高信号(脳梗塞部位など)になる ・基本的にDWIはT2強調画像であり、T2WIで高信号な部位は同様に高信号となる → T2shine through ・b値 :MPGを印加する強さ b値が大きければ拡散強調が強くなり、SN比は小さくなる 拡散の大きいもの(水)は信号が小さくなる ・ADCmap :b値の異なる2画像からT2shine throughの影響を除外した見かけの拡散係数画像 拡散が低いものはADCmapで低信号となる ・アーチファクトが出やすく、パラレルイメージングの使用、TEの短縮、脂肪抑制など工夫が必要 ・拡散強調画像は細胞性浮腫を呈する発症6時間以内の急性期脳梗塞の診断に使用する 高b値の画像で高信号(白)+ADC...
MRA
*基本的に閉塞部、狭窄部はより低信号(flow gap)、磁化率効果で低信号となる (71pm10、70am17pm16、68am16、62.37、60.34) タイムオブフライト(TOF:time of flight)法 GRE法を用いて流入(インフロー)効果を利用する TRごとにαパルスを与えると、新しくその部分に入る血液は、縦磁化はずっと回復した状態と同じとみなせ、これを短いTRにて画像にすると血管だけを強調できる 得られた画像は,MIP処理され三次元的に観察される ・利点 「静磁場への均一性への依存度が低い」 「傾斜磁場の直線性への依存度が低い」 「画像再構成時間が短い」 「PC法よりもS/N比が高い」 ・欠点 「T1が短い組織を高信号に描出」 「断面(FOV)に平行な流れは描出困難」 「過流と乱流によって血管内の信号は低下する(特に冠状断ではインフロー効果が得にくい)」 ・2D-TOF法 : 薄いスライス厚で撮像し,静脈などの比較的遅い血流の信号も描出できる スライス面に対し垂直に流入する血流ほど高信号となり,平行に走る血管は低信号となる 動脈のみ描出する場合、静...
各部位のMRI検査
MRIの単純CTとの比較 ・空間分解能は劣る ・骨のアーチファクトのない画像が得られる ・任意の断層面を撮像できる ・軟部組織のコントラスト分解能が優れる ・血管の検出能が優れる ・石灰化やガス体の検出能が低い MRIの診断能がCTより優れる観察部位 (65.29、64.30、61.35、60.36.42) 脳脊髄(アルツハイマー病、急性期脳梗塞)、靭帯、椎間板、半月板、骨盤内臓器(子宮頚癌、前立腺癌など) 頭頚部のMRI検査 (71pm21、68am22) ・診断 :「脳腫瘍」「血管障害」「てんかん」 「アルツハイマー病」「多発性硬化症」 「低酸素脳症などの脱髄性疾患」 ・顔面(眼窩・顎関節など)は表面コイル、頸部は頭部専用コイルを使う ・脳腫瘍はT2強調画像で高信号となる ・超急性期脳梗塞は拡散強調で良く描出できる ・下垂体後葉はT1で高信号になる ・脳での信号強度の違い (72am15、71pm21、69am16、69pm18、65.42、64.43) T1強調像 T2強調像 (X線CT) 信号強度:強 (脂肪) 脳脊髄液...
アーチファクト
折り返しによるアーチファクト (64.33、62.36) ・被写体がFOVよりも大きい時に発生、FOVより外の組織が位相エンコード方向に折り返してしまう ・対策 :「位相エンコード数を増やす」 「FOV外側への飽和パルス(プリサチュレーションパルス)の印加」 「FOVを広げる」 「SENSEアルゴリズム(パラレルイメージング)法」 「オーバサンプリング」 「表面コイルの使用」 モーションアーチファクト・ゴーストアーチファクト (75pm22、74am21、71pm23、67am18、67pm18、65.33) ・原因 :患者の体動(眼球や嚥下運動)、呼吸運動、血管・脳脊髄液・心臓の拍動、腸管運動 ・位相エンコード方向に等間隔で見られる ・対策 :「呼吸同期法」「心拍同期法」 「流れ補正用の傾斜磁場を追加する(リフェーズ用の傾斜磁場)」 「飽和パルス(プリサチュレーションパルス)の印加」 「位相エンコード方向を変える」 「信号加算数を増加する」 「撮像時間の短縮」 データ打切によるアーチファクト(トランケーションアーチファクト) (71am19、69am18、64....
造影剤
MRI造影剤の種類 1. Gd(-DTPA,-DOTA,etc.)系造影剤 (76pm17、73pm19,72pm15,71pm18,71am91,70pm18,67am17,61.34.36.41,60.37) :常磁性の細胞外液性造影剤 ガドリニウムは重金属イオンで毒性が高いため,キレートを形成し毒性を軽減させたもの 経血管注射造影剤であり、静脈内投与により全身性に分布する 正常脳脊髄では血液脳関門を通過できないが, BBBが破壊されている腫瘍などの病変部には入り込む ・陽性造影剤,高濃度で陰性造影剤となる 通常の濃度での投与によりT1値短縮が優位となり,T1強調画像で信号強度は強くなる 濃度を増加させるとT2値短縮が優位となり,信号強度は小さくなる 造影剤の濃度と信号強度は比例しない ・投与により病変部が高信号になると,脂肪との識別が困難になるため,脂肪抑制撮像法を併用して撮像 ・排泄:尿 ・ガドリニウム系造影剤の副作用 ヨード系造影剤に比べて副作用の発現率が少ないが,重篤な合併症を引き起こすこともある 禁忌 :造影剤に過敏症をもつ患者 原則禁忌 :気管支喘息や...
安全管理
1、臨床用MRIが人体に及ぼす作用 マグネットの力学的作用 (71am91pm19、65.35) ・禁忌 :「人工内耳」「ペースメーカ」 「強磁性体」「脳動脈クリップの一部」 「1970年以前の人工心臓弁」 高周波による加温 (75pm24、74am63、73pm21、71am17pm19、70pm12、69am15、66.25、65.21、65.31.pm55) RFによって人体に生じた渦電流のジュール熱で、SAR(質量あたりの熱吸収比:W/kg)で評価する ・SAR SAR∝(電気伝導度)×(半球)2×(静磁場強度)2×(フリップ角度)2×(RFパルス数)×(スライス枚数) SARの低減方法 :「低磁場」 「TRを大きくする」 「ETLを少なくする(高速SEのとき)」 ・QD型送信コイル :約1/2倍のSARで、√2倍のSNRとなる ・火傷の危険性 :リード線などの導電金属がループを作ると火傷する場合あり、同様に患者が手や足を組んで電流 ループができないようにする 入れ墨,金属を含む湿布なども注意する 変動磁場による刺激と騒音(末梢神経,心臓) (74...
MRI装置 計算ドリル
共鳴周波数 問1 3.0TのMRI装置における水素原子核の共鳴周波数[MHz]はいくつか ただし、1.5Tでの水素原子核の共鳴周波数は64MHzとする 答え歳差運動の共鳴周波数 f=(γ・B0)/2π ω=γ・B0 γ:磁気回転比 B0:静磁場の強さ 磁束密度 コイルに流れる電流に比例して大きくなる 1.5Tで64MHzなので、3.0Tでは×2で128MHzになる 解説ラーモアの式を使った問題だが、単純に比例の関係なので難しく考える必要はない 磁気回転比を64/1.5≒42.6として、3倍しても良いが 問2 3TのMRI装置における脂肪と水の共鳴周波数差[Hz]はいくつか ただし、1Hの磁器回転比は42.6MHz/Tとする 答え水と脂肪の共鳴周波数差=3.5PPM 3Tの場合の共鳴周波数差[Hz] =3.5×42.6MHz/T×3T =447.3Hz 解説ラーモアの式とは別に、水と脂肪の共鳴周波数差3.5PPMが出てこないと解けない問題 ただし、それさえ覚えており、式の使い方を知っていれば解ける 少し難しいかもしれないが、解けても良い問題 ちなみに、ppmとは百万分率の...
診療画像機器学、診療画像検査学のうち、MRIについてまとめたページになります
MRIの問題は増加傾向にあり、特に検査学では画像問題も頻出となってきています
MRI画像については専門書等で画像をよく見ておくのをおすすめします
CTに比べて原理的なものも聞かれやすいので、よく理解しておくと良いかもしれません
ただし、原理といっても信号発生の歳差運動のあたりがちょろっと聞かれる程度で、詳しくSE法やGRE法のパルスシーケンスが問われたりはしなかったりします
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