令和7年以降の診療放射線技師国家試験出題基準について

 現在(2023年令和4年)、2025年令和7年の診療放射線技師国家試験から出題基準の変更が行われることが告知されており、これに関する報告書や告知が随時、厚生労働省医政局医事課から出ている
 当ページでは、これらについて解説や推測を織り交ぜながら、まとめてみる

 注意!
 この変更に関しては2025年令和7年の第77回診療放射線技師国家試験からであり、2024年令和6年に行われる第76回診療放射線技師国家試験は従来の方式で行われるので、間違えないように!

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厚生労働省HPからの報告

2023年1月4日

診療放射線技師国家試験の改善報告書について

2023年6月5日

令和7年版診療放射線技師国家試験出題基準について

改善報告書の内容

 診療放射線技師学校養成所指定規則が一部改正され、令和4年4月から運用されており、これに伴い診療放射線技師国家試験の改善を行うという内容で、改善項目として以下のことが挙げられている

(1.2.3)出題内容、試験科目、出題形式について

 令和4年度から運用されている診療放射線技師学校養成所指定規則の改正内容を踏まえ た出題内容の見直しが必要として、試験科目が下記のように変更される
・「医療安全管理学」を新たに試験科目として設けるとともに、「医用画像情報学」の名称を「医療画像情報学」に変更すること

・「核医学検査技術学」を「核医学診療技術学」に変更すること

・「放射線生物学」「放射線物理学」「医用工学」「放射線計測学」を統合して「理工学・放射線科学」とすること

・「放射化学」を「核医学診療技術学」に包含すること

・「診療画像機器学」には、エックス線撮影機器に関する内容とそれ以外の機器に関する内容が混在することから、エックス線撮影機器に関する内容は「エックス線撮影機器学」に、それ以外の機器に関する内容は「診療画像検査学」とした上で、内容を整理すること

・社会的に要請の高い分野を含めた幅広い領域から出題することができるよう、試験科目ごとの出題割合の目安を規定しておくこと

(4)試験委員の人数について

 診療放射線技師法施行令において、24 人以下とすることとされているが、これを試験委員の上限を 36 人程度に増加させることが望ましいとしている
 そして、発表されている出題基準改定検討会構成員名簿はこちら

(5)試験問題の出題数について

 要約すると、とりあえず当面は現行の 200 問を維持するとのこと

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出題基準と試験科目との対応及び出題割合の変更内容

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変更内容解説

 変更後の教科において、出題割合が示されており、これと従来の出題割合を照らし合わせてわかることを列挙する

・理⼯学・放射線科学
 理⼯学・放射線科学に関しては名前の変更と統合があり、さらにトータルとして1問出題数が減少している
 放射線生物学、放射線物理学、医用⼯学、放射線計測学を合わせると従来では37問出題されていたが36問に変更されている
  また、この4教科の中での配分は明言されていないため、何が削減されたのかに関しては不明

・放射化学の実質的消滅
 核医学診療技術学に吸収されたとされるが、核医学診療技術学の問題数は増えておらず、放射化学、核医学診療技術学ともに出題数の減少となり、ウェイトが大分下がったことになる
 ちなみにここで空きが出た放射化学の8問分が、新たに創設された医療安全管理学に持っていかれたことになる
 個人的な意見だが、基礎科目の重要度が下がってしまったのは残念

・エックス線撮影技術学について
 上記にもあるように「診療画像機器学」には、エックス線撮影機器に関する内容とそれ以外の機器に関する内容が混在することから、エックス線撮影機器に関する内容は「エックス線撮影機器学」に、それ以外の機器に関する内容は「診療画像検査学」とした上で、内容を整理すること、とあるので、
 エックス線撮影技術学については内容が減少したが、問題数は減っていないため、こちらは実質ウェイト増になったと考えられる
 また、後述しているが、新たに創設された「医療安全管理学」において、従来ではX線撮影技術学で出題していた「放射線技師として……」系の問題が出題されるようなので、こちらに関しても内容減少、結果としてウェイト増

・エックス線撮影機器学、診療画像検査学について
 「診療画像機器学」には、エックス線撮影機器に関する内容とそれ以外の機器に関する内容が混在することから、エックス線撮影機器に関する内容は「エックス線撮影機器学」に、それ以外の機器に関する内容は「診療画像検査学」とした上で、内容を整理することが望ましい、と記載されているので
1、「X線撮影技術学」は「エックス線撮影技術学」と名称変更のみ
2、「診療画像機器学」が「エックス線撮影機器学」と「診療画像検査学」に分裂
3、「診療画像検査学」に「診療画像機器学」のうち、(おそらく)MRIと超音波・眼底が追加
4、CTが「エックス線撮影機器学」なのか「診療画像機器学」わからない

 括りが変わったものの、全体としてのウェイト変更はあまり無いかと
 ただし、「技師としての……」系問題などが後述の医療安全管理学に統合されたため、その分はウェイト増か

 

・核医学診療技術学
 今回の変更に伴い、核医学診療技術学は放射化学とともに重要度が最も下がった教科
 この二教科でどのように配点をするかは現時点では不明なため、どちらがどのくらい減るのかは不明
 またしても個人的な意見だが、以前より、核医学に関しては放射線治療に並ぶ20問を出題するのは、臨床に則していない(ウェイトが重すぎる)と思っていたので、これに関しては賛成

・画像⼯学
 公式文章では特に言及されていなかったが、地味に1問出題数が増えている画像工学
 サイレント強化されており、この1問は理⼯学・放射線科学からきている1問だと考えられる

・医療画像情報学
 医用画像が医療画像に名前が変わっただけで、出題数に変更なし
 医用工学は医療工学にはならないのだろうか

・放射線安全管理学
 出題割合に変更はないものの、医療安全管理学に吸収される部分があると思われるので、その度合いによっては相対的にウェイト増

・医療安全管理学
 今回新たに創設された科目で、詳しくは次項で

医療安全管理学

 科目の詳細内容は下記のようになっている(中項目まで記載)
 また、各項に関して、管理人の現在における所感を記載する

Ⅵ.医療安全管理学(実践臨床画像学、臨床実習を含む)
  臨床実習を含むとあるが、各学校、各病院で大分内容に差異があると思うのだが、どのように含むのだろうか気になる

1.医療安全の基礎
 A.基本事項  B.ヒューマンエラー C.医療事故・インシデント D.医療安全対策

2.放射線診療の安全管理

 A.院内感染対策 B.個人情報保護

 上記の2項目に関しては、従来のX線撮影技術学の最後の方で出題されていた「放射線技師として……」系の問題が出題されると予想
 問題内容に関しては下記を参照

放射線技師としての・・・問題
(76pm86、75am63、74am86、72am53.89pm85、71am83.92、71am25、70am25.pm84、69am25.83.pm84、68am83、67am83、66.68.am49、65pm68、64pm68.am49.69、63am49、62.68、61.68) 検査の流れ ・患者確認 :検査前に、自ら名乗ってもらう   名乗れない場合は患者タグやネームバンドで確認をする ・検査説明 :介護者にも説明  CTでは該当部位の金属、X線撮影時には+プラスチックなどを外す  MRでは禁忌チェックを行う ・検査実施 :医師の指示に基づいて撮影を行う  ポジショニングは体表ポイントを参考にする  病室でのポータブルは対象以外の人は可能な限り移動させる  外傷部位を触らずにポジショニング、頸椎損傷ネックカラーは外さずに検査  検査中に急変があった場合は医師の指示を受ける  移動の介助等も行う  放射線技師による穿刺、造影剤などの薬剤投与、ゾンデの使用は禁止 →診療放射線技師法の改正に関してはこちら  過去問とは業務範囲など、現在とは違っているところがあるので注意 感染...

 上記のように、これによって実質エックス線撮影技術学のウェイトが増えていると予想

 

3.医療機器および器具の安全管理
 A.医療機器の安全な使用 B.医療器具の安全な使用

 この項目に関してはよくわからないが、一つ予想されるないようとして75am6.10や75pm8で出題されたような内容が出題されるのではないか
 特定保守管理機器などのワードが既に登場している
 詳しくは下記のページを参照

第75回診療放射線技師国家試験 午前 1/2
問題および画像はすべて厚生労働省HPより引用しております  正答ボタンを押すと答えの選択肢が表示されます  各問の参考となる対策ノートのリンクを問題下部に設置してあります  当然解けるべき問題に関しては特にコメントしませんので、対策ノートを覚えてください 放射化学 1 元素記号F の同族元素はどれか。 1.C 2.O 3.P 4.Cl 5.Ar 正答 2 核反応について正しいのはどれか。 1.Q 値が正の場合は吸熱反応である。 2.荷電粒子の加速に原子炉が使われる。 3.中性子の加速にサイクロトロンが使われる。 4.入射粒子が中性子のときクーロン障壁の影響を受ける。 5.反応を起こすために必要な最小エネルギーをしきい値と呼ぶ。 正答  当サイトでは放射線物理学のページに記載しております 3 放射性核種の分離法について正しいのはどれか。 1.電気泳動法では加熱を行う。 2.ペーパークロマトグラフィではRf 値を比較する。 3.薄層クロマトグラフィでは移動相でキャリアガスを用いる。 4.共沈法では不要な放射性核種を沈殿させるために捕集剤を用いる。 5.イオン交換クロマトグラフィでは分離のス...
第75回診療放射線技師国家試験 午後 1/2
問題および画像はすべて厚生労働省HPより引用しております  正答ボタンを押すと答えの選択肢が表示されます  各問の参考となる対策ノートのリンクを問題下部に設置してあります  当然解けるべき問題に関しては特にコメントしませんので、対策ノートを覚えてください 放射化学 1 放射性核種の半減期で正しいのはどれか。 1.生物学的半減期は核種に依存しない。 2. 3 半減期後に原子数は最初の1/3 になる。 3.半減期が長い核種ほど壊変定数が大きい。 4.有効半減期は内部被ばく防護の指標として用いられる。 5.有効半減期は物理学的半減期と生物学的半減期の和である。 正答 2  99Mo‒99mTc ジェネレータをミルキングしたときの99mTc の放射能を表すのはど れか。   ただし、AM を99Mo の放射能、λT を99mTc の壊変定数、λM を99Mo の壊変定数、t をミルキング後の経過時間とする。 正答 3 Wilzbach〈ウィルツバッハ〉法について正しいのはどれか。 1.標識位置は安定している。 2.合成は数分程度で完了する。 3.比放射能が高い標識化合物が得られる。 4.放射化...

 ただ、もしそうだとするとこの出題者は第77回から適用すると告知している内容に関して、第75回の試験で出題していることとなり、完全なるお漏らしであり、決定事項とは違うこととなる
 自ら作っている決まりぐらいはきちんと守って欲しいと切に願う

 

4.医薬品の安全管理
 A.造影剤
 B.放射性医薬品

 こちらに関してはそれぞれX線撮影技術学、核医学で出題されていた内容であるが、それがどのような形となって出題されるのかは不明
 造影剤や放射性薬品に関してはすべてこちらに来るのだとしたら、こちらも大分ウェイトが変わることとなるが、そうではなく、管理や取扱などのみだと予想

5.救急医療
A.救急疾患の診断  B.救急疾患の治療  C.救命処置

 救急医療に関しては基礎医学で主に出題されていたので、ここで出題されるとすれば基礎医学の出題範囲が少し減っており、ウェイトが少し変わるか
 といっても内容としてはAED、BLS、ALSぐらいか

6.診療の補助⾏為に関する安全管理
 A.静脈路の確保(抜針、止血を含む)
 B.造影剤・放射性医薬品の注入又は投与に関する行為(静脈路・動脈路)
 C.下部消化管検査(肛門カテーテルによる手技)
 D.上部消化管検査(鼻腔カテーテルによる手技)
 E.診療補助におけるリスク

 近年の法改正に伴い、放射線安全管理学において出題されていた系の問題がこの項目
 詳しくは下記のページへ

法改正について
放射線安全管理学では法規に関する問題が多く出題されます  法律というものは年々更新されるものであり、こうした法改正に関する問題も出題される可能性は大いにあります  このページではこうした法改正について簡易にまとめてありますので、ご一読されることをお勧めいたします 診療放射線技師法  平成26年に「診療放射線技師法」の一部改正があり、これらを基に今後、過去問では対応できないであろう出題が予想されます  詳しくはこちら↓ 医療法施行規則  平成32年4月1日(令和2年)より、診療用放射線に係る安全管理について、医療法施行規則の一部を改正する省令が施行される ・医療法施行規則 第1条の11  管理者が確保すべき安全管理の体制 - 診療放射線に係る安全管理(規則第1条の11第2項第3号の2)  ①診療用放射線の安全利用のための指針の策定  ②放射線診療に従事する者に対する診療用放射線の安全利用のための研修の実施   ③放射線診療を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用のための方策の実施  ③として以下の二つが規定される  Ⅰ.医療被ばくの線量管理  Ⅱ...

 これにより、放射線安全管理学の出題範囲も若干変更されていることになる
 また、法改正した年からは必ず毎年1問は出題されているので、新制度になってからも必ず出題されるだろう

コメント

  1. はし より:

    理工学・放射線科学の内訳ですが、シーイーフォックスの全国統一模擬試験では、放射線生物10点・放射線物理10点・医用工学6点・放射線計測学10点になっていました。医用工学が7点から6点に削減されていますが、この4科目で医用工学の出題範囲分野だけが増えていますので、1点少なくなることはないと考えていたのですが、見解はいかがでしょうか。

    • 対策ノートの人 より:

      ご質問ありがとうございます
      実際に本番があるまでは正直なんとも言えませんが、我々としても削減されるなら医用工学かと思っています
      しかし、純粋に医用工学から一問削除というよりは、計測学と範囲が被っているような箇所(半導体など)で出題され、結果として1問少ないという感じになるのではないかと予想しております
      どちらにせよ大きな変更ではないのでそこまで気にしなくても良いかと思います

  2. はし より:

    返信ありがとうございます。
    ただでさえ昔から「捨て科目」と評されていた医用工学が0点の心配もなくなり実質の配点まで下がれば、本当に誰も時間をかけなくなりますね。それでいいのであればもう少し出題範囲を削減してほしいものです。
    それなら毎年”効果的な10問”が打たれていない放射線計測学の方を放射線物理との重複も多いので複合メインとして据え置けばいいんじゃないかと思っています。

    • 対策ノートの人 より:

      同意見は多いと思います
      あと、医用工学が統合されたことで、医用工学の範囲で0点足切りにならなくなるという視点はなかったので、勉強になりました
      ありがとうございます

 

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・出題年数の見方
 例:(71pm72、67pm13.pm75、66.26)とある場合
 71pm72 → 第71回の午後72問
 67pm13pm75 → 第67回の午後13問と午後75問
 66.26 → 第66回のその教科がある方の26問
(放射化学から医用画像情報学までは午前、基礎医学大要から安全管理学までは午後)
*第66回までは午前午後で出題される科目が分かれていたため

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