撮像の原理(パルスシーケンス)

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スピンエコー法(Spin Echo:SE法)

 (65.40)
 TR、TEを調整することでT1強調画像、T2強調画像、プロトン密度強調画像などを得る方法
 以下に基本的シーケンスを示す

1、静磁場に被写体が入る
 -プロトンの周波数は揃っており、位相は分散している


2、Gzを加えながら、90°パルスを与える

 Gz:Gzが加えられながら(位相がさらに分散)、90°パルスによって位相が揃い、
  加えられ続けているGzによってまた位相がGzにそってずれる
  Gzはその後逆向きになり、Gzの位相は再収束する
 Gy、Gx:90°パルスでそれぞれそろった状態になる


3、Gyを強度を変えながら加えていく

 Gy:加えられた強度ごとにずれた状態になる
(3.1、Gxを加える)


4、Gzを加えながら、180°パルスを与える

 Gz:Gzを加えられながら(位相がGzにそってずれ)、180°パルスで位相が反転、加えられ続けているGzによって再収束する
 Gy、Gx:180°パルスでそれぞれ反転状態になる
  
5、Gxを加えながら(位相がそろった状態で)エコー収集を行う
 -3.1を行っていない場合は5で加えるのとは逆のGxを5の前に与える
  -Gyは変えながら加えられた強度分だけずれたまま収集される
   -Gzは4で再収束したまま(位相がそろった状態で)収集される


*RFパルス
(1)90°パルス
(2)180°パルス


*傾斜磁場

(1)スライス決定用傾斜磁場:Gz
(2)位相エンコード傾斜磁場:Gy
  *TRごとに傾斜磁場の強さを変えて繰り返す必要がある

(3)周波数エンコード傾斜磁場:Gx
 = 読み取り傾斜磁場

*血管は)信号になる(位相分散による)

マルチエコー法

 1つの90°パルスを加えた後、180°パルスを順次複数加えて、複数のエコーを収集する方法

高速スピンエコー法(Fast Spin Echo:FSE法)

 1つの90°パルスに対して複数の位相エンコードを行うことで撮像時間を短縮する方法
 位相方向に画像がぼける(特にT2強調画像で)

 

グラディエントエコー法(Gradient Echo:GE法)  

 (75pm11、71pm11)
 読み取り用傾斜磁場を出力して横磁化を制御する方法
 90°パルスの代わりに励起(α°)パルスをフリップ角(任意)で加える
 180°パルスの代わりに傾斜磁場の反転をする

・特徴

・TR が短い
:180°パルスを使用しないため短縮できる
 これによるSN比の低下をフリップ角を小さくすることで補う

・磁化率差に鋭敏で、磁場の不均―性の影響を受けやすく、T2強調画像が得られない
 (T2*強調画像になる)

・TEと撮像時間が短い
・スライス厚の薄層化が可能
・S/N比が小さい

・適応

:「MRアンギオ」「血腫の診断」

・フリップ角

:フリップ角が大でT1強調画像に、小でT2*強調画像になる
 信号強度が最大となるフリップ角をエルンスト角という

・スポイル

目的外の信号抑制のために傾斜磁場やRFをかけること

・リワインダー

:傾斜磁場の反転を利用し、横磁化の位相を再度そろえること

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反転回復法(Inversion Recovery:IR法)

(75am24、74pm15、70pm15、67pm15、65.34、60.32)
 最初に180°パルスを使用し、スピンエコーでは正の部分を利用するが、IRでは絶対値演算は行わず、実数成分だけを用いて画像を作り、マイナスの範囲も含めた大きなコントラストをそのまま横磁化にして信号をスピンエコーで得る
 スピンエコーよりもはるかに強いT1強調像を得ることができる

・反転パルス
:最初にスピンを反転させる180°パルス

・IR時間
:反転から90°パルスまでの時間 → STIRやFLAIRに使用されている

・FLAIR:Fluid attenuated inversion recovery(水信号抑制)

 IR法を使用して長いT1の水信号を抑制したT2強調像を得る方法で、
 自由水のみが無信号となり、脳腫瘍が観察が容易となる

・STIR:Short TI inversion recovery(脂肪抑制)

 縦緩和時間(T1)差を利用した手法
 低磁場の装置やシミングが困難な部位でも使用可で、撮像条件が限定されるが、
 血腫や常磁性造影剤濃染組織の信号も抑制可能

スピンエコーによるTRとTE

 (71pm21)

スピンエコー 繰り返し時間TR  繰り返し時間TR エコー時間TE
T1強調像 短い(100~1000ms) 短い(10~30ms)
T2強調像長い(2000~6000ms) 長い(60~200ms)
プロトン密度強調像長い(2000~6000ms) 短い(10~30ms)
高速スピンエコー(10000ms)(800ms)

撮像方法の違いによるコントラストの変化

(75pm15、72am15、67am22、67pm17、65.32、64.35、63.47、62.38)

撮像法特徴高信号になるもの低信号になるもの
T1強調画像 T1値が短いほど
高信号となる
脂肪
亜急性期出血
高蛋白
メラニン、常磁性体
淡い石灰化
 水(脳脊髄液)
多くの病変部位
T2強調画像T2値が長いほど
高信号となる
水(脳脊髄液)
多くの病変部位
急性・慢性期出血
石灰化、骨皮質
ガス、メラニン
拡散強調画像高b値画像とADCマップの
組み合わせで脳梗塞の診断をする
急性期脳梗塞
膿瘍
脳炎、脳症 
水(脳脊髄液)
脂肪
T2強調画像で低信号のもの

脳での信号強度の違い

 (72am15、71pm21、69am16、69pm18、65.42、64.43)

 T1強調像 T2強調像 (X線CT)
信号強度:強(脂肪)脳脊髄液(CSF)灰白質(GM)
白質(WM)灰白質(GM)白質(WM)
灰白質(GM)白質(WM)脳脊髄液(CSF)
信号強度:弱脳脊髄液(CSF) (脂肪)
T1強調T2強調
FLAIRDWI
MRA造影T1強調プロトン密度強調

(69am16:頭部MRI)

各部位のMRI検査
MRIの単純CTとの比較・空間分解能は劣る        ・骨のアーチファクトのない画像が得られる・任意の断層面を撮像できる     ・軟部組織のコントラスト分解能が優れる・血管の検出能が優れる       ・石灰化やガス体の検出能が低いMRIの診断能がCTより優れる観察部位 (65.29、64.30、61.35、60.36.42) 脳脊髄(アルツハイマー病、急性期脳梗塞)、靭帯、椎間板、半月板、骨盤内臓器(子宮頚癌、前立腺癌など)頭頚部のMRI検査 (71pm21、68am22)・診断:「脳腫瘍」「血管障害」「てんかん」 「アルツハイマー病」「多発性硬化症」 「低酸素脳症などの脱髄性疾患」・顔面(眼窩・顎関節など)は表面コイル、頸部は頭部専用コイルを使う・脳腫瘍はT2強調画像で高信号となる・超急性期脳梗塞は拡散強調で良く描出できる・下垂体後葉はT1で高信号になる・脳での信号強度の違い(71pm21、69am16、69pm18、65.42、64.43) T1強調像 T2強調像 (X線CT)信号強度:強(脂肪)脳脊髄液(CSF)灰白質(GM)↓白質(WM)灰白質(GM)白質(WM)↓灰白...

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 例:(71pm72、67pm13.pm75、66.26)とある場合
 71pm72 → 第71回の午後72問
 67pm13pm75 → 第67回の午後13問と午後75問
 66.26 → 第66回のその教科がある方の26問
(放射化学から医用画像情報学までは午前、基礎医学大要から安全管理学までは午後)
*第66回までは午前午後で出題される科目が分かれていたため

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