放射化分析
(75pm4、73pm34、72pm3、69pm4、68pm4、66.8、61.7)
放射化分析の利点
「検出感度が良い」
「試薬などの汚染がない」
「核反応なので元素の化学的性質に影響されない」
「多元素同時分析ができる」
「非破壊分析ができる」
放射化分析の欠点
「精度が低い」
「副反応による妨害がある」
「自己遮蔽の影響がある」
「原子炉など中性子発生源が必要」
生成放射能の計算
(72pm4、64.8、60.7)
・試料を時間t照射して、直後に得られる放射能A
A = f×σ×N×(1-e-λt)
= f×σ×N×(1-(1/2)t/T)
f:照射粒子束密度(n/cm2・s)
σ:放射化断面積
N:試料の原子数
・原子数N
N = θm/M × 6.02 × 1023
θ:存在比 m:試料質量 M:試料原子量
また、t<<Tの場合
A = f×σ×N×(0.693×t/T)
・照射終了後、時間d経過後の放射能Ad
Ad = A×e-λd =A×(1/2)d/T
・放射線計測
「Ge(Li)」または「Ge」半導体検出器つき多重波高分析器を使用する
→ γ線に対するエネルギー分解能が優れているため
放射化分析の方法
・破壊法
共存RIが多く、計測の妨害となり、直接γ線スペクトロメトリーをできない試料に対して用いる
試料の損失は担体を加えることで補正できる
・非破壊法
化学分離を行わなくて良い試料に対して用いる
・PIXE法 (73am3、60.8)
荷電粒子(主に陽子)を試料に照射,
特性X線を検出することにより微量元素を分析する高感度な多元素同時分析法
・アクチバブルトレーサ法 (63.7)
放射化断面積の大きい非放射性物質をトレーサとして使用し、実験後に放射化させて測定する
以下に使用例を示す
Li:中性子照射でトリチウム3Hになる
10B:中性子の遮蔽に使用
57Fe:メスバウアー分光法での吸収体
139La:
ホットアトム(反跳効果)
(n,r)反応の反跳エネルギーを利用する
エネルギーは数十~数百eV程度
Fe,Co,Cu,Caなどで利用
・ジラードチャルマー(ズ)法 (73pm3、62.5、60.5)
高比放射能核種が得られる
127I(n,r)128I
→ 128Iをホットアトムとして分離
合成法,標識法
代表的な合成法
・化学的合成法
長所:「高比放射能」
「標識位置がわかる」
「多重標識可能」
短所:「手数と時間がかかる」
・生合成法 (74am4)
長所:「化学合成が難しいアルカロイドやたんぱく質などの合成」
「標識が均一」
「光学的活性体」
短所:「標識位置、比放射能、収率のコントロールが困難」
・同位体交換法
短所:「逆反応が起こる」
・反跳合成法
長所:「複雑な化合物の標識」
「短寿命核種の標識」
「高比放射能」
短所:「低収率」
「標識位置が不定」
「副反応生成物に伴う分離の困難」
3Hの標識法
(75pm3、71pm1、69am4、67pm3、63.6)
・ウィルツバッハ法
:同位体交換反応で数日放置するのみ
有機化合物の標識に有用
・3H接触還元法
14Cの標識法
(76pm3、67pm3、64.6)
・グリニヤール反応:12CO2
・生合成法
・ホットアトム法
放射性ヨウ素のタンパクへの標識方法
(70am3、67pm3、66.7、64.6、61.6)
・クロラミンT法
直接法の一つ
クロラミンTの強い酸化作用でヨウ素をI+にして標識
酸化作用によるたんぱく質損傷がある
アミノ酸残基が必要
・ラクトパーオキシダーゼ法
直接法の一つ
酸化作用を利用するが温和な方法
アミノ酸残基が必要
・ヨードゲン法
直接法の一つ
非水溶性のため、反応を制御しやすい
アミノ酸残基が必要
・ボルトンハンター法
間接法の一つ
あらかじめフェノール基(リジン残基)に標識した試薬を使用する
99Mo-99mTcジェネレータと標識法
(74pm3.26、70am2、68am2、67pm2、66.3.5、62.3、60.4)
・ミルキングの方法
1,親核種99Moをアルミナ(酸化アルミニウム)樹脂に吸着させ、カラムに詰める
2,溶出液(生理食塩水)を流して、99mTc O4-を溶出する
放射平衡が成り立つのは72時間後
24時間後に87%(極大値)
48時間後に94%となる
・99mTcの標識法 (60.6)
スズ還元法:還元剤(塩化第一スズ、塩化第一鉄)で還元する
PET薬剤の合成・標識
(68am4)
半減期が短いものが多いため、短期間での合成・標識が必要
・18F-FDGの標識法
サイクロトロンにより得た18Fイオンをマンノース類似体に加えて標識する
↓18F-FDG検査
対策ノート「PET・内用療法」
コメント
化学的合成法は短時間合成が可能ではないでしょうか
ご指摘ありがとうございます
ノートの記載は化学的合成一般の話であり、特定の化合物をさしたものではないため、確かにものによっては短時間、少ない工数で行えるものもあります
しかし、一般的にはアイソトープを用いながら目的の化合物を化学的に合成していくのは工数も多く、手間と時間がかかるものが多いように思います
反証があれば、ぜひ参考資料とともにご指摘頂けると幸いです
回答ありがとうございます。国試対策としてはこのノートの通りに覚えて問題ないでしょうか。
現状、そのようにしてもらうのが良いと思います