放射線安全管理学では法規に関する問題が多く出題されます
法律というものは年々更新されるものであり、こうした法改正に関する問題も出題される可能性は大いにあります
このページではこうした法改正について簡易にまとめてありますので、ご一読されることをお勧めいたします
診療放射線技師法
平成26年に「診療放射線技師法」の一部改正があり、これらを基に今後、過去問では対応できないであろう出題が予想されます
既に2017年には改正を把握していなければ完答するのに難儀する問題が出題されております
そこで本ページにて、要点をまとめておきます
・「画像診断装置を用いた検査の業務」の追加
技師法第二十四条第二項の一の改正
放射線を照射する装置{以外}に、画像診断装置として「核医学診断装置」が追加され、
・磁気共鳴画像診断装置
・超音波診断装置
・眼底写真撮影装置
・核医学診断装置(NEW)
の四つとなった
・診療の補助としての業務範囲拡大
(73am97,72am53pm96)
技師法第二十四条第二項の二の改正
以下の行為が医師の指示下において認められるようになった
(1)造影剤に関して
・既に確保された静脈路に造影剤を接続、及び造影剤自動注入器を用いた造影剤投与を行うこと
・造影剤投与終了後の静脈路の抜針及び、止血をすること
(2)下部消化管検査、画像誘導放射線治療(IGRT)に関して
・カテーテル挿入部(肛門)へのカテーテル挿入すること
・挿入したカテーテルより、造影剤及び、空気の注入をすること(下部消化管検査)
・挿入したカテーテルより、空気の吸引をすること(下部消化管検査)
・胸部検診業務についての改正
技師法第二十六条第二項の改正
検診において胸部エックス線検査を医師立会がなくても実施できるようになった
ただし、以下の点の遵守が要求される
・検診の実施に関し、事前に放射線技師に対して指示をする医師及び、緊急時や非常時に対応する医師などを明示した計画書を作成し、市町村に提出し、この体制を整える
・業務や緊急時のマニュアルを整備する
・検査に関わる機器及び、設備を整備するとともに、機器の日常点検等の管理体制を整備する
・検診に従事する診療放射線技師が必要な教育及び、研修を受ける機会を確保する
・業務拡大に伴う統一講習会について
おそらく国家試験には関係しませんが、一応……
改正に伴い、業務が拡大され、これに伴う医療安全の担保が求められております
そのため、業務拡大に必要な知識、技能の習得が{努力義務}として課せられております
技師会によって「業務拡大に伴う統一講習会」と称して講習会を実施しており、丸々2日間もかけて、六万円も取られて(会員でも一万五千円)、特に大したメリットの無い講習会を受けられます
医療法施行規則
平成32年4月1日(令和2年)より、診療用放射線に係る安全管理について、医療法施行規則の一部を改正する省令が施行される
・医療法施行規則 第1条の11
管理者が確保すべき安全管理の体制
- 診療放射線に係る安全管理(規則第1条の11第2項第3号の2)
①診療用放射線の安全利用のための指針の策定
②放射線診療に従事する者に対する診療用放射線の安全利用のための研修の実施
③放射線診療を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用のための方策の実施
③として以下の二つが規定される
Ⅰ.医療被ばくの線量管理
Ⅱ.医療被ばくの線量記録
対象となる放射線診療機器等
・CTエックス線装置
・血管造影検査に用いる透視用エックス線装置
・診療用放射性同位元素
・陽電子断層撮影診療用放射性同位元素
・放射線技師として
放射線技師として主に重要になってくるのは③の「放射線診療を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用のための方策の実施」だと考えられます
線量管理については以下のことが求められる
○関連学会等の策定したガイドライン等を参考に、被ばく線量の評価及び線量の適正化
○医療被ばくの線量管理の方法は、必要に応じて見直し
• 関連学会等の策定したガイドライン等に変更があったとき
• 放射線診療機器等の新規導入又は更新のとき
線量記録については以下のことが求められる
○関連学会等の策定したガイドライン等を参考に、当該診療を受ける患者の被ばく線量を適正に検証できる様式を用いて行うこと
その他の放射線診療機器における線量管理及び線量記録については以下のことが求められる
○上記以外の放射線診療機器についても、必要に応じて、医療被ばくの線量管理及び線量記録を行うこと
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
原子力規制委員会は、平成28年1月のIAEAによるIRRS(総合規制評価サービス)の結果および「放射性物質及び関連施設に関する核セキュリティ勧告」を踏まえ、平成29年4月14日に改正放射線障害防止法を公布した
今回の法令は2段階で施行された
・第1段階:平成30年4月1日
①報告義務の強化
②廃棄に係る特例
③試験、講習等の課目の規則委任
④危険時の措置の強化
⑤教育訓練等
・第2段階:平成31年9月
セキュリティ対策の強化
・名称
「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(障防法)」
から
「放射性同位元素等の規制に関する法律(RI規制法)」
へ変更となった
・放射線技師として
国家試験でこれらRI規制法について詳しく問われることはないと考えられます
せいぜい特定放射性同位元素の使用例として以下のようなものがあることぐらいかと
「遠隔治療装置用線源」
「ガンマナイフ用線源」
「血液照射装置用線源」
「RALS用線源」など
コメント