細胞の回復
・亜致死損傷回復(SLD回復、Elkind回復)
(73am68、70am69、69am68、65.38)
1回の照射で死に至らなかった細胞の回復は
低LET放射線で多く、線量率効果がある
高LET放射線はほぼない、線量率効果はほぼない
12時間程度で回復
*線量率効果
:低線量率の方が回復量は多いという効果
・潜在的致死損傷回復(PLD回復)
(63.40)
照射後の環境条件によって生存率の上昇が見られる回復
低栄養、低酸素、低pH、接触増殖阻害、定常増殖などの細胞を増殖抑制の起こる環境で発生
反対に通常修復されるPLDが修復されずに致死損傷として固定される場は高・低調液、カフェイン、βアラビノフラノシルアデニン、ヒドロキシウレア、ある種の抗がん剤などがある
1時間以内で回復するものと2~6時間で完了するものがある
・逆線量率効果
一部の細胞では特定の線量率(5mGy/min)でGブロックにより致死効果が上がる
細胞死
・分裂死
:増殖死ともいわれ、数回分裂して死に至る
無限の増殖能を失った状態
巨細胞を生じる
「芽細胞」「がん細胞」などが行う
・間期死
:「神経細胞」「末梢リンパ」などが行う
・アポトーシス
(73pm65、69am65、60.33)
細胞の能動的死で、低LETの放射線で起こりやすい
リンパ球や幹細胞、がん細胞の一部で起こる
・細胞形態
:「細胞の縮小」
「クロマチン凝縮」
「核断片化」
「アポトーシス小体」
・生物学的変化
:「DNA断片化」
「カスピパーゼ活性化(タンパク質分解)」
「マクロファージに貪食される(炎症を起こさない)」
・ネクローシス
細胞の受動的死で、高LETの放射線で起こりやすい
・特徴
:「細胞(核)の膨潤、溶解」
「DNAの不規則分解」
「炎症」
「内容物消失」
適応応答
:事前照射により、その後の照射に対する抵抗性を得る現象
事前照射から大線量照射までの有効な時間は6,12時間
リンパ球の染色体異常に対して認められる
事前照射は約0.01Gy
化学物質でも似た効果がある
生存率曲線 - 標的説
・D0
:平均致死量
生存率を37%にするのに必要な線量
哺乳類は1~2Gy
・n
:外挿地
理論的な標的数
・Dg
:見かけの閾線量
回復能力を示す
0~5Gy
・生存率S=e^(-D/D0)
・低LETの肩より右部分、高LET
:1標的1ヒットモデル
・低LETの肩より左部分
:多標的1ヒットモデル
生存率曲線 - LQモデル(直線2次曲線モデル)
(73am66pm66,71pm67,69pm65,65.33,64.32,63.32,62.34)
・生存率S=exp(-αD-βD2)
D:線量
α:1本の放射線で2本鎖切断が起こる
β:2本の放射線で2本鎖切断が起こる
→ SLD回復に関係
・αD=βD2のときの線量D=α/βとする
(各組織・細胞毎の定数)
・早期反応組織(がんを含む)
:α/βは大きい、肩は小さい
・晩期反応組織
:α/βは小さい、肩は大きい
*白血病のモデルになる
↓分割照射における生物学的等価量

4R
(73am69、71am67、70pm65、69pm67、65.38、64.40、61.36)
・回復、修復(Recovery, Repair)
→ SLD回復
PLD回復(1時間以内と2~6時間)
生存率上昇
・再酸素化(Reoxygenation)
→ OER
生存率低下
24時間以内に発生
・再分布、同調(Redistribution)
→ 10時間前後で発生
細胞周期による感度の違い
生存率低下
・再生(Regeneration)、再増殖(Repopulation)
→ 正常組織の再生
20時間後程度で発生
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