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X線源装置

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X線管の構造

・固定陽極X線管

 陽極が固定された構造
 →  熱容量が小さい
 歯科用・携帯形などの小容量X線装置に使用され、焦点外X線の発生が少ない

・回転陽極X線管

(73pm6)
 陽極が回転する構造
 → 熱容量が大きい
①ガラスバルブ
:真空の維持、高電圧の絶縁と耐高温性材質
 → 硼珪酸硬質ガラス

②陰極(フィラメント、集束電極)
:加熱電流で高温にして熱電子を発生、熱電子を細いビームに絞る

③ターゲット
:傘形で焦点面の材質はタングステン
 →  高原子番号、高融点3450

④陽極回転子(ロータ)
:誘導電動機の原理でターゲットを高速回転させる

・格子制御系X線管

 グリッド電極により高電圧型でX線を開閉できる
 コンデンサ式X線装置と組み合わせて使用
 管電流を制御する格子電極をもつ

*暗電流(67pm5)
:格子電極をすり抜けた熱電子ビームのこと

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実焦点と実効焦点 

(72pm7、66.10、61.11、60.10)

 (実効焦点実焦点)

・実焦点
 管電圧が低い・管電流が大きい・ターゲット角度が小さい
 → 実焦点は大きくなる
  (実行焦点を一定とした場合)

 実焦点面積が大きい
 → 短時間許容負荷が増す(X線出力を大きくできる)
   最大許容入力が大きくなる(比例の関係)

・実効焦点
 実効焦点面積が小さい
 → 幾何学的半影(画像のボケ)を小さくできる

・ヒール効果
 ターゲットからのX線強度分布がターゲット自身の吸収によって陽極側<陰極側となること
 ターゲット角度が大きい・撮影距離が長い
 → ヒール効果が小さい
   (利用可能な放射角度が大きい)
 ヒール効果が小さい
 → 最大照射野・有効照射野が大きくなる
  (利用可能な放射角度が大きくなるため)

・ビームハードニング
 線質は陽極側で硬くなる

正焦点と副焦点 

(60.12)
 電子密度焦点>焦点
 フィラメントから発生する熱電子は集束電極によってターゲット上に集束するが電子密度は均等ではない
 →  正焦点と副焦点の生成
   両焦点の幅はフィラメントの幅には比例し、
   深さには、深くなると正焦点は小さく、副焦点は大きくなる

・正焦点
:フィラメントの前面付近から発生した熱電子によって形成される焦点

・副焦点
側方および後方から発生した熱電子によって形成される焦点

焦点外X線

(74am5、68am6、64.9、61.10、60.12)
・発生
:焦点に衝突する高速電子から発生した2次電子焦点面以外のターゲット面に衝突して生じる

・作用
:X線画像に一様なかぶりを与えるため、コントラストを低下させる

・除去のための構造
付加フィルタX線可動絞りの奥羽根鉛コーン

・特徴
焦点近傍で最も多く発生し、離れるほど減少する
 線質は焦点近傍で最も軟質(低エネルギー成分のX線)で、離れるほど硬質になる
 回転陽極管ではターゲット面積が大きいため、固定陽極管に比べて発生量は多い

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動作特性(二極管特性、v-i特性)

 (75am8、73am6、72am12、71am9、69pm5、67pm6、64.10、62.12、60.9.10)

・X線管入力
 X線を発生するために陽極に加えられる電力
 → 公称最大電力
 P:X線管入力[kW] 
   P = U×I×f×10-3 
 U:管電圧[kV]
   ピーク値で表される   
 I:管電流[mA]
   平均値で表される
 f:管電圧のリプル百分率によって定まる定数
  f=1.0:リプル百分率が10%以下の場合
  (インバータ式、 定電圧形、 三相12 ピーク形に相当)
  
  f=0.95:リプル百分率が10%を超え25%以下の場合
  (三相6ピーク形に相当)
  
  f=0.74:リプル百分率が25%を超える場合
  (単相2 ピーク形、 単相1ピーク形に相当)

X線装置 計算ドリル 
コンデンサ式高電圧装置 (73pm11,64.54) 問1  容量0.5μFのコンデンサ式X線装置において、充電電圧80kVで10mAs放出した時の波尾切断電圧[kV]はいくつか 答え放電電荷量mAs=C×(Vc-Vd) C:静電容量 Vc:充電電圧 Vd:波尾切断電圧 Vd=Vc‐mAs/C  =80‐10/0.5 =60 解説 コンデンサ式X線装置の計算問題  基本的には左辺に放電電荷量をとると右辺の変数が3つになり、どこが問われるのかはわからないが、過去問的には波尾切断電圧が問われているので式を変形しなければならない  式の形だけではなく、の中の単位も覚えてないと間違えうるので注意が必要   X線管入力の動作特性 (72am12,71am9,67pm6) 問1  三相12ピーク整流装置で、撮影管電圧100kV、管電流1000mAのときの電力はいくつか 答えP:X線管入力  P = U×I×f×10-3  U:管電圧,ピーク値で表される I:管電流,平均値で表される f:管電圧のリプル百分率によって定まる定数 f=1.0:リプル百分率が10%以下の場合  (インバータ式, 定電圧形...

・ヒートユニット[HU](73pm11)
 X線管の入力を表す特別の単位
 1HU=0.71J
(a) 単相全波整流回路、 単相半波整流回路、 自己整流回路の場合
 :HU値=U×I×t

(b) 三相全波整流回路または同等のリプル百分率の回路の場合
 :HU値=U×I×t×1.35

(c) 定電圧回路の場合
 :HU値= U×I×t×1.41

(d) コンデンサ式の場合
 :HU値=0.71×C×(U12-U22)

 U:管電圧[kV]、ピーク値で表される
 I:管電流[mA]、平均値で表される
 t:負荷時間[s] 
 C:コンデンサ容量[μF]
 U1 :管電圧[kV]
 U2 :波尾切断電圧[kV]

・飽和領域(温度制限領域)
 比較的管電圧が高く、管電流が低く、焦点が大きい領域
 管電流I∝1÷d2  
 → 管電流値はフィラメント電流で決まる
   (飽和電流で動作する)

・空間電荷制限領域
 比較的管電圧が低く、管電流が高く、焦点が小さい領域
 管電流Ip(チャイルド・ラングミュアの式)∝V3/2÷d2
 V:管電圧 
 d:電極間距離 

・固有ろ過 
(74am6、71am5)
 取外しできない物質(外囲器 (ガラスなど) や絶縁油、 放射窓など)による線質等価ろ過
 固有ろ過(Be)と付加ろ過を合わせると総ろ過となる
 総ろ過量増加 
 → 「X線量:小さくなる
   「実行エネルギー:大きくなる

・フィラメント特性
 フィラメントに加える電圧フィラメント電流との関係

・管電流特性 (エミッション特性)
 管電流フィラメント電流との関係

・その他特性
 X線出力∝(管電圧)n×(管電流)×(ターゲットの原子番号)
 
 全X線強度・線量∝(管電圧)n×(管電流)×(照射時間)×(ターゲットの原子番号)

*n
管電圧指数(2~5で変動)
 ターゲットで発生した直後はn=2だが、物質を透過するほどnは大きくなる

↓対策ノート「医用工学:二極管」

交流電力 / 変圧器 / 時定数 / 鉄心 / 真空管
交流電力 (74am75、73pm75、68pm76、67pm77、66.53、65.53、61.55)  一周期にわたる瞬時電力pの平均値を交流電力という ・交流電力P   P=VIcosθ[W]  VI:皮相電力  cosθ:力率 ・無効電力P   P=VIsinθ[W] ・実効値=最大値(瞬時値)/√2 ・平均値=2/π×最大値(瞬時値) ・消費電力P(電力の瞬時値の時間平均)  P=V×I×cosθ  V:実効値  I:実効値   cosθ:位相差 変圧器の原理  (72am5、70am77、69am77)  a= V2/V1   = N2/N1    = I1/I2  一次等価抵抗R1=r1+r2/a2  二次等価抵抗R2=r2+a2×r2  定格容量P=V2×I2=V1×I1 変圧器の損失 (73pm76、72pm76) ・損失W  W=鉄損+銅損   鉄損=銅損:変圧器の最大効率 1, 無負荷損(鉄損):鉄心に生じる損失  1-1, ヒステリシス損  1-2,うず電流損 2,負荷損(銅損):負荷電流による巻線の抵抗損  銅損=R×I2, 負荷, 負荷率の二乗に比例  2-...

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・出題年数の見方
 例:(71pm72、67pm13.pm75、66.26)とある場合
 71pm72 → 第71回の午後72問
 67pm13pm75 → 第67回の午後13問と午後75問
 66.26 → 第66回のその教科がある方の26問
(放射化学から医用画像情報学までは午前、基礎医学大要から安全管理学までは午後)
*第66回までは午前午後で出題される科目が分かれていたため

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