X線・電子線による外部照射 / 固定照射 / 運動照射

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X線による外部照射

X線の特徴

(72pm42、68pm39、64.80、62.78)

・ビルドアップ効果のため皮膚障害の軽減が図れる
 エネルギーが高いほどビルドアップは深くなる
  → 皮膚表面線量が小さくなる

・組織間の吸収の差が小さくなり、線量分布が均等になる

・深部でのPDDが大きく、深部の腫瘍に対して十分な線量を照射できる

・側方散乱が少ない
・骨や肺などの影響が少ない
・10MV以上のエネルギーでは光核反応による中性子の防護に考慮が必要

電子線照射

電子線の特徴 

(75pm40、71am37、67am39.am40、62.75)
・ある深さで急激に線量が低下するため、表面付近の腫瘍または術中照射に適す

・局所障害が少なく回復が早い
・側方散乱は多いが遮へいが容易であり、周囲の健常組織が簡単に防護できる

照射筒を使用するため照射野は照射筒の大きさになり、表面位置での照射野となる

スキャッタリングフォイル(散乱箔)によりビームを拡散し照射野内の線量分布の平坦化を行う

・治療可能深さ  

 (70pm37、65.80、62.75)      

入射平均
エネルギーE0
実用飛程
Rp
治療に
有効な深さ
表面線量 表面近傍の
線量勾配
6 MeV3.0 cm2 cm
9 MeV4.5 cm3 cm  
12 MeV6.0 cm4 cm   
15 MeV7.5 cm5 cm   
18 MeV9.0 cm6 cm なだらか

*実用飛程(最大飛程)
:入射平均エネルギーE0の1/2 cm 

*治療可能深
:入射平均エネルギー E0 の1/3 cm

*放射線治療では電子線エネルギーを入射平均エネルギーで表す
 入射平均エネルギー E0 = 2.33×R50
 エネルギーの1/3 = 80 %線量となる深さ
 必要なエネルギー=腫瘍の深さ(cm) × 3(MeV)

・適応:深さ5、6 cmまでの浅い腫瘍 
 (71pm42)
 表在の腫瘍(皮膚癌、乳癌の皮膚浸潤・転移・リンパ節、ケロイド)
 下方に重要臓器のある腫瘍(乳癌の胸壁皮膚浸潤、転移)

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固定照射

・セットアップ法:SSD一定法

・1門照射法1門照射

表層部分の照射に用いられ、多くは電子線照射に使用される

・電子線または60Coγ線、3~6MVのX線を使う

・適用:「胸壁腫瘍」
    「皮膚癌」
    「骨転移の疼痛緩和

・X線で治療範囲が表面を含む場合にはビルドアップ効果による表面線量の低下を防止するためボーラスを用いる

・マントル照射
:全リンパ節照射で、ホジキンリンパ腫に使用する

・2門照射法

:全体を均一に照射するため皮膚表面線量の影響が大きい

(1)対向2門照射法
:中心部分の線量があがる
・適用:「喉頭・咽頭癌
    「食道癌
    「子官頸癌
    「全脳照射」

(2)直交2門照射法
:中心部分の線量があがる
 線量分布を均等にするためウェッジフィルタボーラスを使用
・適用:「上顎癌

(3)接線照射法:STD一定法 
(72am40、71am44、70pm42、68pm40、67.43、66.71、63.88、62.86、60.84)
 体表近くが高線量域になるので、ウェッジフィルタを使用し線量分布を均等にする
 主に乳房を対象とし、肺野への線量を抑えるため、ハーフフィールド法などを用いる
・適用:「乳癌
    「胸壁腫瘍」
    「肋骨転移」


(72am40:接線照射の一例)

↓乳腺の放射線治療についてはこちら

小児腫瘍 / リンパ腫・白血病 / 乳がん / 皮膚がん
小児腫瘍・集学的治療(手術、化学療法、放射線治療)を行う・小児好発がん (70am58、69am61、68am61、66.25) 「白血病」 「脳腫瘍(神経膠腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、上衣腫)」 「神経芽腫」 「リンパ腫」 「腎腫瘍(腎芽腫、ウィルムス腫瘍)」 「骨肉腫」小児白血病:予防的頭蓋照射、脊髄移植のための全身照射を行うウイルムス腫瘍 (69pm61)・集学的治療 手術療法 :早期の外科手術  原発巣とリンパ節の廓清  進行病期の決定  放射線療法 :術後照射  ただし、晩期に側弯症が起こる可能性がある  化学療法 :ACT-D、VCR、ADMなどがある横紋筋肉腫・集学的治療 手術療法 :早期の外科手術  原発巣とリンパ節の廓清  病期の決定  放射線治療:術後照射 化学療法:VAC療法など神経芽細胞腫・集学的治療 完全摘出(+JAMES法(軽い化学療法)のみ) 不完全摘出(+術後照射+強い化学療法+骨髄移植)*集学的治療があまり効かないが1歳未満での発症は予後良好網膜芽細胞腫悪性リンパ腫・化学療法が主である・TNM分類はあまり使用されず、WHO分類を用いるホジキンリ...

 

・多門照射法

・適用:「頭頸部」「肺癌」
    「食道癌」「膵癌」
    「膀胱癌」

・4門照射の適応:「食道癌」「子宮癌」

運動照射

・セットアップ法:STD一定法

・回転照射

:照射する角度における標的形状に合わせてMLCにより照射野を調整する
・適応:「前立腺癌」
     「膀胱癌」
     「食道癌」

・振り子照射

:線量分布が偏る
・適応:「乳癌」

 

 

各腫瘍に対する投与線量に関しては

対策ノート:腫瘍治療学概論

腫瘍治療概論 
腫瘍治療概論 (60.78) 治療可能比(TR) TR=腫瘍組織の障害/正常組織の障害  =正常組織の耐容線量(TD)/腫瘍制御線量(TCD)  治療可能比が1以上ならば治療可能 線量の集中性を高めることで正常組織にはTD以下,がん組織にはTCD以上を与えることができる可能性もある・腫瘍制御量(TCD)に影響する因子:組織型と腫瘍体積(細胞数)・正常組織耐用線量(TD):TCD同様に組織の種類と大きさに依存する。 通常TD5/5の値を用いる放射線治療の障害 ↓ リスク臓器について「対策ノート:耐用線量」・早期反応:「粘膜」「皮膚」「腸管」「骨髄」など・晩期反応:「脊髄」「中枢神経」「肝臓」など放射線治療に対する臓器の反応 (71pm44、68pm44、66.88)・並列臓器:「肺」「肝臓」「腎臓」 → 照射される体積が重要になる・直列臓器:「心臓」「脊髄」「肺門部」「肝門部」「腸管」 → 照射される最大線量が重要になる放射線治療の禁忌:「妊婦」(68am36)局所制御率・奏効率 (61.70)  下記のPR以上に効果があった割合・完全奏効CR:すべての病変が消失・部分奏効PR:標的病変...

コメント

  1. より:

    授業で食道癌は回転照射は、脊髄や甲状腺が含まれる為、不適と習ったのですがどうでしょうか。

    • 対策ノートの人 より:

      ご質問有難うございます
      個人的に観察される範囲の話になってしまい、申し訳ないのですが、
      臨床においては回転照射は現在あまり使用されておらず、強度変調回転照射(≒VMAT)が現在は多く使用されていると思います
      当方も回転照射については詳しくなく、食道への使用が適切かどうかについて、明言できかねるのですが、
      少なくとも強度変調回転照射においては食道への使用は「推奨」となっていると認識しております(JASTROガイドライン参照)
      資料が上手く見つからなかったため、あくまで、推測となってしまいますが、IMRTではないMLCをフィットしただけの回転照射に関しても同様に、単純な前後対向やボックス照射に比べると、回転照射、もしくは前後斜位対向などが選択になるかと思います

 

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・出題年数の見方
 例:(71pm72、67pm13.pm75、66.26)とある場合
 71pm72 → 第71回の午後72問
 67pm13pm75 → 第67回の午後13問と午後75問
 66.26 → 第66回のその教科がある方の26問
(放射化学から医用画像情報学までは午前、基礎医学大要から安全管理学までは午後)
*第66回までは午前午後で出題される科目が分かれていたため

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